研究課題/領域番号 |
22K10161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50309473)
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研究分担者 |
山根木 康嗣 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00434944)
柳本 惣市 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10315260)
岸本 裕充 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30291818)
鵜澤 成一 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30345285)
北島 一宏 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80448860)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / tumor budding / partial EMT / 口腔癌 / EMT / 浸潤 / 転移 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔がんには他のがんと同様に転移を起こしやすいものと起こしにくいものがある。これらは手術の後の病理検査では明らかになる事が多いが、手術の前からあらかじめ「転移しやすいがん」がわかっておれば、患者個人に合わせたカスタムメイド治療を組み立てやすくなる。我々は癌細胞が持つ、いろいろな刺激に対して「可塑性」を持つ細胞の性質を解析して、口腔がんのカスタムメイド治療を組み立てる一助とする。
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研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌において頸部リンパ節転移は極めて重要な予後因子である。頸部リンパ節転移の予測因子は数多く検討されているが、一定の見解は得られていない。申請者はTumor budding (簇出、以下TB) がリンパ節転移に相関することから、TBを予測するバイオマーカーを見出し、臨床に応用することを目標としている。その中でTBは、腫瘍微小環境から影響を受けてpartial EMT(以下、pEMT)を生じた際に見られる現象であることを見出した。そこでin vitroでこれまで概念的であったpEMTを再現できるような実験系を作成した。今年度は口腔癌組織に付着する口腔内微生物叢が間質との相互作用で慢性炎症を助長し、partial EMTを誘導することを仮定して、歯周病を重症化させ、口腔癌でも菌数の著明な増加が知られているPorphyromonas gingivalis(Pg菌)のLPSを口腔癌培養細胞に作用させ、partial EMTが生じることを報告した。さらに現在、再発・転移患者に用いられる免疫チェックポイント阻害剤の耐性にpartial EMTが関与する可能性もデータとして得られた。今後は癌組織内の低酸素状態を再現する条件下ではpEMTが生じていること、さらに低酸素状態も免疫チェックポイント阻害剤の耐性に関与していることをin vitroで確認していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度内に予定していたPorphyromonas gingivalis(Pg菌)のLPSを用いた口腔扁平上皮癌培養細胞に対するpartial EMTの誘導に関する論文がacceptされた。また口腔扁平上皮癌組織から採取した菌種の同定もほぼ終了し、in vitroの再現実験を行う。さらに低酸素状態でのpartial EMT誘導研究の解析結果をまとめる段階にきている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はin vitroにおけるデータを解析し、論文化をすることに加え、微生物叢におけるバイオマーカーの検出、腫瘍組織内の低酸素状態の解析を進めていく。主たる研究チームの主力2名が他大学へ移動するなど研究組織の役割の変更から、本年度は苦戦するが、この実験系が有用なものとなるように更なる研究を進めていきたい。
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