研究課題/領域番号 |
22K10166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80372390)
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研究分担者 |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
田澤 美樹 (柏木美樹) 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70803360)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 軟骨再生 / マクロファージ / エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
唇裂鼻2次変形に対する再生軟骨の導入が進んでいるが、再生軟骨の成熟はホスト側因子に大きく左右されるため、軟骨細胞とホスト側の細胞との相互作用の解明は極めて重要である。本研究では、軟骨成熟促進作用を持つマクロファージと軟骨細胞との間の情報伝達におけるエクソソームの関与を証明し、エクソソームを介して伝達される遺伝子情報を同定する。具体的には、軟骨細胞ペレットとマクロファージとの共培養を行い、エクソソームの阻害による軟骨成熟やマクロファージ極性の変化を解析する。また、エクソソームmiRNAを解析し、細胞間で伝達されるmiRNAの詳細を明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、調製したマウス耳介軟骨細胞ペレットとマウスM1-likeマクロファージとの共培養を行った。エクソソーム阻害が軟骨成熟に与える影響を検討するため、軟骨細胞ペレット単独培養群、軟骨細胞ペレットとM1-likeマクロファージとの共培養群、共培養系にエクソソーム阻害剤を投与した群の間で比較検討を行った。組織学的検討において、軟骨細胞ペレット単独培養では辺縁部に軟骨基質の形成が見られたが、中央部分では軟骨基質形成が見られなかった、一方、共培養においては軟骨ペレットの内部にまで軟骨基質の形成が組織学的に確認できた。また、リアルタイムPCRにおいて、共培養では単独培養と比較して軟骨マーカーであるアグリカンの上昇が見られた。しかし、エクソソーム阻害剤の添加により、これらのマクロファージ共培養による軟骨成熟促進作用は抑制された。 また、軟骨細胞からの因子がマクロファージに与える影響を分析した。軟骨細胞の単層培養上清から精製したエクソソームをM1-likeマクロファージに加えたところ、24時間後にはIL-10のmRNAおよびタンパクレベルの上昇が見られた。この実験についてはエクソソームの精製法としてTotal exosome isolation reagent (TEI)および限外濾過法(UF10k、UF100k)の比較を行い、いずれも効果を認めた。しかし、各方法で精製したエクソソームにおけるmRNAの発現パターンとタンパクレベルでの上昇に乖離があるため評価が難しく、精製法についてはさらなる検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームが軟骨細胞及びマクロファージ間の相互作用に与える影響を、共培養系およびエクソソーム添加培養系で検討し、一定の結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
マウス軟骨細胞及びマウスM1-likeマクロファージから採取したエクソソームについて、その粒子径や特異的抗原の発現などについて、ウエスタンブロッティング、Flow cytometryやナノ粒子イメージングアナライザーなどを用いた解析を行い、採取、精製しているものが実際にエクソソームであることの証明を行う。また、マクロファージ及び軟骨細胞のそれぞれがエクソソームを実際に取り込んでいることや、エクソソーム取り込みが細胞機能、特に細胞運動性や形態に与える影響を、ファゴサイトーシスアッセイやライブイメージングなどの手法で解析する。 軟骨ペレットとM1-likeマクロファージとの共培養実験を継続し、マクロファージの分極状態の経時的変化を、M1およびM2マクロファージ特異的マーカーに対する免疫染色やリアルタイムPCRなどで解析する。また、エクソソーム阻害がこの分極状態変化に与える影響を解析する。さらに、前年度に引き続き、軟骨細胞由来エクソソームをM1-likeマクロファージに添加した際のIL-10やM1、M2マクロファージマーカー遺伝子の変化をさらに長期にわたって解析する。 加えて、上記実験においてはエクソソームの精製法としてTotal exosome isolation reagent (TEI)および限外濾過法(UF10k、UF100k)の比較を引き続き行い、最適なエクソソーム精製法を検討しつつ実験を推進する。
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