研究課題/領域番号 |
22K10169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮脇 卓也 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00219825)
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研究分担者 |
樋口 仁 岡山大学, 大学病院, 准教授 (30423320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル / 抗炎症作用 / サイトカイン / 細胞内カルシウム動態 / サイトカイ ン |
研究開始時の研究の概要 |
電位依存性チャネルのひとつである過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channels: HCNチャネル)には、HCN1、HCN2、HCN3、およびHCN4のサブタイプがあり、それぞれ役割を有している。本研究では、マクロファージ様細胞におけるHCNチャネルサブタイプ遺伝子の発現を確認し、特定のHCNチャネルサブタイプ遺伝子をノックダウンすることで、HCNチャネル阻害薬(イバブラジンなど)による抗炎症作用がどのHCNチャネルサブタイプを介して、またどのような機序で関与しているかを調べる。
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研究実績の概要 |
電位依存性チャネルのひとつである過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル(Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channels: HCNチャネル)には、HCN1、HCN2、HCN3、およびHCN4のサブタイプがあることが知られている。これまでの研究で、培養したマウスマクロファージ様細胞(RAW264.7細胞)にはHCNチャネルサブタイプのうちHCN2およびHCN3チャネル遺伝子が主に発現していることがわかった。そこで、LPSを添加して培養したRAW264.7細胞に対して、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)を添加した場合、炎症性メディエータ(TNFalpha, IL-6)の産生を抑制したが、HCN2チャネル遺伝子をノックダウンしたところ抗炎症作用が有意にみられなかったことから、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)の抗炎症作用はHCN2チャネルを介している可能性が示唆された。しかし、その機序については不明のままである。HCNチャネルは陽イオンチャネルであり、ナトリウムイオン以外にもカルシウムイオンが内向きに通過するため、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)がカルシウムイオンの通過を阻害している可能性が考えられた。そこで、本年度は、RAW264.7細胞内のカルシウム濃度の変化を評価し、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)が細胞内カルシウム動態に及ぼす影響について検討した。その結果、LPSを添加したことよって、細胞内カルシウム濃度には有意な変化はみられなかったが、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)を添加することによって用量依存性に細胞内カルシウム濃度が低下することがわかった。よって、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)は細胞内カルシウム濃度を低下させることによって、炎症反応を抑制している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)が炎症を抑制する機序については不明であったが、HCNチャネルは陽イオンチャネルであり、ナトリウムイオン以外にもカルシウムイオンが内向きに通過するため、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)がカルシウムイオンの通過を阻害している可能性が考えられた。そこで、本年度は、RAW264.7細胞内のカルシウム濃度の変化を評価し、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)が細胞内カルシウム動態に及ぼす影響について検討した。その結果、LPSを添加したことよって、細胞内カルシウム濃度には有意な変化はみられなかったが、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)を添加することによって用量依存性に細胞内カルシウム濃度が低下することがわかった。よって、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)は細胞内カルシウム濃度を低下させることによって、炎症反応を抑制している可能性が示唆された。以上の研究成果から本研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)が、HCNチャネルサブタイプであるHCN2チャネルを介して炎症性メディエータ(TNFalpha, IL-6)の産生を抑制し、抗炎症作用を有していることが示され、本年度の研究によって、HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)はRAW264.7細胞内のカルシウム濃度を低下させることによって、炎症反応を抑制している可能性が示唆された。HCNチャネル阻害薬は神経障害性疼痛に対して効果があることが報告されていることから、次年度は神経障害性疼痛と関連が強いとされているミクログリア細胞について、HCNチャネル阻害薬による細胞内カルシウム動態への影響ついて検討する。
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