研究課題/領域番号 |
22K10171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
飛梅 圭 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (40350037)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | EMT / Snail / pEMT / NGS |
研究開始時の研究の概要 |
Snailを導入した大多数のOM-1細胞は上皮と間葉の形質を併せ持ったpartial EMT形質を保持するため、partial EMTをEMTへシフトさせる培養条件、および、EMTを上皮形質へシフトさせる培養条件をそれぞれ確立してきた。本研究では、この実験系を用い、新規にpartial EMT-EMTの往来に呼応して発現ON/OFFを受けるSnail標的遺伝子群を同定する。また、それらSnail標的遺伝子の発現ON/OFFを制御するエピジェネティック機構を解明し、段階的かつ可逆的な上皮間葉転換機構をSnailが支配する全貌を解明する。
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研究実績の概要 |
がん細胞のEMTにおいて上皮形質と間葉形質を併せ持つ細胞が中間段階として存在することが確証されてきた。しかし、「中途半端」なEMTであるがゆえにひとつの細胞株で、安定的に上皮形質-partial EMT形質-EMT形質を再現、単離し解析することは困難で、湧き出てくる学術的問い「partial EMT形質とEMT形質を分離制御する機構の解明」は難航している。申請者らはSnail導入によりpartial EMT形質とEMT形質を安定的に保持するがん細胞サブクローン群を継代維持し、それらを用いた解析結果から、学術的問いへの答えを得る。新規にpartial EMT-EMTの往来に呼応して発現ON/OFFを受けるSnail標的遺伝子群を同定することを目指し,今年度実施した本研究計画では、Snailとは独立して機能するEMTマスター転写因子ZEB1のエピジェネティクな制御がキーとなることを発見、報告した。 LSD1は,クロマチンのヒストンマークを修飾し,エピジェネティックな遺伝子発現プロファイルを変更することで腫瘍の悪性化に関与することが知られている.このため, LSD1に対する化学阻害剤の抗がん作用が期待されている. EMTのマスター転写因子(EMT-TF)のSnailが標的とする上皮細胞間結合接着分子の発現抑制は, SnailとLSD1が会合し,標的遺伝子のヒストン修飾を間葉型へと変換することでなされる.このため, LSD1阻害剤は上皮形質を維持する培養癌細胞のEMTを抑制すると予測されてきた。本研究では, 予想外にLSD1阻害剤単独処理が上皮形質を維持するOM-1細胞のEMTを誘導し,がん治療として期待される作用とは反対の作用を示すことを見出し,その分子機序を同定した。LSD1阻害剤による化学療法において、この機序は回避されるべき重大事項であることを世界で初めて提示できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はLSD1がZEB1の転写をクロマチン構造を変化させることで抑制し, LSD1の化学的阻害によりZEB1転写制御領域のヒストンマークは変更され, ZEB1の発現は解放されEMTが誘導されることを発見した. これにより口腔がん治療へのLSD1阻害剤適用において, 考慮すべき重要な反作用を報告したことは学術的に大きな意義がある。本研究計画目的の遂行という観点では、Snailとは独立して機能するEMTマスター転写因子ZEB1のエピジェネティクな制御がSnail依存的なpartial EMT形質-EMT形質を分別して支配する機構であることを発見したことがおおむね順調に計画が進展していると考える理由である。
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今後の研究の推進方策 |
NGS解析でSnai1が誘導するpartial EMTとEMTで発現プロファイルが一致する遺伝子、どちらかに特異的な発現を示す遺伝子群を抽出することで、なぜ、同じ転写因子Snailを発現するOM-1の遺伝子発現プロファイルが変化しpartial EMTとEMTが段階的に制御できるのか、個々の標的遺伝子の機能を俯瞰的にとらえ、その統合される生理機構を以下の2点で明らかにしたい。 1.partial EMTとEMTでSnailが結合するゲノム上のサイト分布が変化するか? この可能性を検討するために、pEMT OM-1Snai1とEMT OM-1Snai1細胞をそれぞれ抗Snail抗体を用いたChIP-seq解析に供し、全ゲノム配列上でのSnail結合サイトを網羅一覧する。解析結果はNGSデータとして得られるため,ゲノム上に結合サイトをマッピングすることで両細胞間でのSnail結合配列の分布の違いが定量的に明確になる。 2.partial EMTとEMTでSnailは発現調節領域への結合を変えず、Snailの形成する転写因子複合体の構成変化により、近辺のクロマチン構造、具体的にはヒストンの修飾が変化するのか?この可能性を迅速かつ強力に検討するためにATAC-seqを用い、まず全ゲノム上のクロマチンアクセス可能サイトを網羅一覧し定量的に両細胞間でのクロマチン構造が異なるゲノム領域を同定する。さらに1で得るChIP-seqと 既に得ているRNA-seqをゲノム上に同時にマッピングして一覧することで、Snailの結合サイト近辺のクロマチンの修飾によるON/OFF機構が働くSnail標的遺伝子の網羅的把握を実施する
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