研究課題/領域番号 |
22K10175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
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研究分担者 |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
田代 茂樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20300882)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | cPLA2 / 低酸素 / HIF-1α / 放射線抵抗性 / 低酸素細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、低酸素環境下の細胞が放射線に対して抵抗性となるメカニズムへの細胞質型ホスホリパーゼA2(cPLA2)の関与を解明することである。 一般に固形腫瘍内には低酸素領域のがん細胞が存在し、放射線治療に顕著な抵抗性を示すことが知られており、このことが放射線治療後のがんの再発や転移に関与すると考えられている。近年、低酸素環境下では様々な遺伝子の発現や抑制が起こっており、その中には放射線抵抗性に関連する遺伝子が複数含まれていることが報告されている。本研究では、これらの遺伝子とcPLA2の相互作用を解析し、低酸素環境下の細胞の放射線抵抗性におけるcPLA2の働きを解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は低酸素適応応答に対するcPLA2の関与について検討した。この実験にはcPLA2WTマウスおよびcPLA2KOマウスの肺から分離したcPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞を使用した。 まず、cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞を低酸素状態で培養し、細胞死の違いをFACS解析で検討した。その結果、cPLA2(+/+)では約54%の細胞に細胞死がみられたのに対して、cPLA2(-/-)では約20%の細胞にしか細胞死がみられなかった。このことから、cPLA2が低酸素適応応答に関与している可能性が示唆された。 さらに、cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞に低酸素刺激を行い、低酸素適応応答に中心的な役割を果たす遺伝子であるHIF-1αの発現をウエスタンブロット法で検討した。その結果、cPLA2(-/-)ではcPLA2(+/+)と比較してHIF-1αの発現が抑制されることが確認された。 以上のことから、cPLA2はHIF-1αの発現に何らかの影響を与えており、そのことによってcPLA2が低酸素適応応答に関与しているのではないかということが示唆された。 また、低酸素刺激によるDNA損傷応答に対するcPLA2の関与を調べるために、cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞に低酸素刺激を行い、ATMのリン酸化およびH2AXのリン酸化についてウエスタンブロット法で検討した。その結果、低酸素刺激によるATMのリン酸化やH2AXのリン酸化についてはcPLA2(-/-)とcPLA2(+/+)の両方で確認されDNA損傷応答が起こることがわかったが、cPLA2(-/-)とcPLA2(+/+)に発現のタイミングや発現量に差はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
cPLA2の低酸素適応応答への関与を確認することができたが、低酸素細胞の放射線抵抗性におけるcPLA2の働きについてはまだ検討できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、低酸素細胞の放射線抵抗性におけるcPLA2の働きについて検討するために、cPLA2(+/+)およびcPLA2(-/-)の線維芽細胞に低酸素環境下でエックス線照射を行い、DNA損傷応答遺伝子の発現の違いを明らかにしたい。
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