研究課題/領域番号 |
22K10178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
小田 昌史 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10638117)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 導帯管 / UTE / Ultrashort TE |
研究開始時の研究の概要 |
Ultrashort TE撮像、近年発表している導帯管の研究を足掛かりに、従来のMRI検査、CT検査、PET検査等の結果と統合し、顎骨の炎症や腫瘤性疾患の診断における新たな知見を見出すものである。UTE撮像はMRIによる硬組織や線維組織などの直接的な診断を可能にする。一方、顎骨に認められる導帯管は顎骨領域の炎症波及や腫瘤性疾患の発生及び増大との関連性を示唆する結果が明らかとなっている。これまではCT画像を用いての研究がされてきたが、今回の研究では前述のUTEをはじめ、新たな画像や画像解析方法でアプローチする。
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研究実績の概要 |
本研究は申請者がこれまでに基礎的研究を行ってきたMRIの特殊な撮像であるUltrashort TE(UTE)撮像、近年発表している導帯管の研究結果を足掛かりに、従来のMRI検査、CT検査、PET検査等の結果と統合し、顎骨の炎症や腫瘤性疾患の診断における新たな知見を模索するものである。UTE撮像はT2*緩和時間が極めて短い組織からのMR信号を収集することができ、MRIによる骨や線維組織などの直接的な診断を可能にする。導帯管は歯が形成される際に歯堤上皮が迷入した痕跡で、歯槽骨にトンネル状の骨欠損構造である。内部には線維組織を入れているが、上皮細胞も残存することがある。導帯管の研究成果は申請者らが世界に先駆けて発表した分野であり、歯の発生や萌出異常の研究を経て、現在では炎症の波及や腫瘍の発生、増大に関係するという研究へと発展している。導帯管は管状構造であるため、炎症が波及しやすい経路となる。また、歯原性疾患の発生母地、腫瘤の進展経路にもなるという結果が得られている。これまでの研究はCT画像を中心に行ってきたが、UTEを組み合わせることでMRIによる骨及び導帯管内部の線維組織の描出も可能となるため、導帯管骨壁の微細な変化と内部の歯導索の両方について検討を加えることができる。我々の研究で導帯管と顎骨領域の炎症波及や腫瘤性疾患の発生及び増大との関連性を示唆する結果を得ている。また、新たに乳歯の異常を持つ歯の後継にあたる永久歯における導帯管の研究論文を発表した。今回の研究ではUTEを用いて導帯管のさらなる画像や画像解析方法でアプローチする。そのための撮像の条件を模索している。これらの研究結果を統合し、より実用的な臨床応用を目標として行う研究をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19により、医療機器の使用に慎重を余儀なくされたため、思うように進行することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は前述のようにUTE技術と導帯管の知見に主眼を置き、口腔顎顔面領域における画像診断能の向上を目指す。UTEの研究ではこれまでの基礎研究を足掛かりに顎骨診断に有用なUTEパラメータの検索及びUltrashort領域のT2*緩和時間計測を行う。それらの結果より、それぞれの組織の描出に最適なTE及びその他のパラメータを模索する。その後に臨床応用を目指して炎症、腫瘍等を有する患者の撮影を行うことを予定している。その際には従来の診療で撮像しているシーケンスに追加する形で撮像するものとする。具体的な研究対象は炎症性疾患、歯原性嚢胞、良性腫瘍、悪性腫瘍、手術による移植骨の癒合などが挙げられる。評価項目としては主に顎骨の導帯管、病変、その周囲のMR信号変化、病変部の信号などを考えている。また、顎骨に関連する疾患から得られたUTE画像とその他の従来の画像、確定診断、術中所見及び予後と比較する。CT及びMRIのT1WI、T2WI、ADC mapなどはすでに臨床上ルーチンとして撮像しているものであり、主治医の依頼にしたがって施行する。
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