研究課題/領域番号 |
22K10197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
荻 和弘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40433114)
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研究分担者 |
笹谷 聖 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10815715)
西山 廣陽 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60749563)
岩本 空大 札幌医科大学, 医学部, 診療医 (90894048)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 再発口腔がん / 免疫チェックポイント阻害剤 / 遺伝子変異 / がん免疫環境 / 口腔癌 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔癌組織において同定した遺伝子異常について、体液中の腫瘍由来循環DNA(circulating tumor DNA, ctDNA)に対する解析システムを構築し、がん診断・治療のバイオマーカーとしての有用性を検討する。サンプルとして末梢血中のセルフリーDNA、腫瘍の影響を受けた血小板(tumor educated platelets, TEP)上のDNA、唾液中のDNAを診断時、治療後経時的に抽出し、腫瘍サンプルで同定した遺伝子変異のモニタリングを行う。従来の腫瘍マーカー、PET/CTなどの画像診断と対比することで、治療抵抗性、再発、予後不良を予測する診断システムの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
口腔癌の免疫環境においてNotch遺伝子ファミリーの役割と免疫チェックポイント阻害薬の関連性を明らかにしてきた. 最初にNotch1-4遺伝子の発現をqPCRにて検索し、スクリーニングを行った。Notch1の発現はOSC-20, HO-1-u-1, SAS株で高発現、HSC-3株で低発現を示し細胞株によって発現量に特異性があることから, それぞれのシグナル異常を解明するために, 前記4株に対してwhole exome sequence (WES)による変異解析を行った. その結果HO-1-u-1, SASでNotch受容体の細胞外ドメイン(NECD)に, HSC-3で細胞内ドメイン(NICD)に変異を認めたが, OSC-20に変異は認めなかった. さらにNotch signal inhibitor (DAPT)で処理するとqPCRにてNotch1遺伝子の発現低下ならびにwestern blot(WB)でNICDおよびその下流の標的遺伝子であるHes1タンパクの発現抑制を認めた. 同様にsiRNAにてNotch1をknockdownするとNotch1遺伝子の発現低下ならびにNotch1, NICD, Hes1タンパクの発現抑制を認めた.つぎにNICDの局在の変化を調べるために蛍光免疫染色を用いた.その結果DAPTで処理するとNotch1のNICDの核内移行が抑制され,シグナル伝達が制御されている結果となった. このほかNotchシグナル経路を制御すると, がん細胞表面に発現しているPD-L1は減少し, 細胞内でのPD-L1の発現量が上昇する細胞株がみられ, Notch1の変異とPD-L1の発現の関連性を検索している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画は予定通り遂行できている.現在実験結果をまとめて論文投稿を予定している.
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今後の研究の推進方策 |
今後はNotch1遺伝子変異を認める口腔癌症例にてPD-L1の発現を検索し, 腫瘍浸潤CD8陽性T細胞の発現とその関連性を明らかにしていく予定である. この研究結果を明らかにすることでがん免疫環境においてNotch1遺伝子変異がネオアンチゲンとなり, 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率や予後マーカーとなる可能性がある.
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