研究課題/領域番号 |
22K10205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
江口 貴紀 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70832814)
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研究分担者 |
長島 孝行 東京農業大学, 農学部, 教授 (20231483)
石塚 忠利 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (20892954)
川口 浩司 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (50277951)
濱田 良樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70247336)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | シルクフィブロイン / 無菌蚕 / 骨膜 / 顎骨再生 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、医療で用いられる足場材料の多くは、動物性コラーゲンかポリグリコール酸である。動物性コラーゲンは細胞誘導能がそれほど高いわけではなく、吸収期間の調整が難しい。ポリグリコール酸は足場材料として比較的長い期間生体内で存在できるが異物反応による炎症が起こり得る。 シルク素材による足場材料では、優れた組織誘導能・低抗原性・容易な吸収期間の調整が期待できるため、再生治療における新たな足場材料となり、再生治療の進歩に寄与できると思われる。
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研究実績の概要 |
骨再生のscafoldの開発を目的としているが、前段階として組織内の基本的な生体反応を明らかにするための実験をおこなった。具体的には、C57BL雌マウスにおいて、骨膜と似たような強度を持ったシルクフィブロインシートとコラーゲンシートを、それぞれマウス腹直筋欠損部に用いて1週間、2週間、1カ月間での組織生体反応を肉眼とHE染色病理組織像で解析した。 肉眼所見では、コラーゲンシート、シルクシート共に、消化管との癒着は無く、それぞれの構造を保持しながら消化管の逸脱(ヘルニア)を防いでいた。2週間以降だとコラーゲン膜はほぼ分解され、1カ月では肉眼的な残存は認めなかった。一方、シルク膜は2週間、1カ月と肉眼的に形態を保持していた。以上の結果から、生体内で骨膜として応用可能な強度を長期間維持できる事が示唆できた。 HE染色切片では、シルクシート、コラーゲンシート共に良好な組織誘導能が確認されたが、シルクシートの分解が遅いことが要因で、異物巨細胞も多く誘導されていた。そのため、新たな課題として異物巨細胞の出現しないようなシルクシートの開発の必要性が明らかとなった。すなわち、強度を保ちながら異物反応が生じないシルクシートの開発を計画している。異物反応は、シルクの不溶化の割合が大きいと出現しやすくなる傾向が判明したため、不溶化の割合を下げて、強度を維持した素材を現在作成中である。骨のscafoldへの応用実験は、適切なシルクシート開発後に予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人工骨膜にふさわしいシルクフィブロイン生体材料の条件検討が難航している。 人工骨膜(骨のscafold)として、ある程度の時間(おおよそ半年)吸収されないような材料を開発中だが、ミクロレベルで吸収期間が長くなると、異物巨細胞が出現することが明らかとなった。そのため適切な吸収期間や異物巨細胞が反応しないようなscafoldが確立しておらず、当初予定している骨の再生実験まで進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
組織内での異物反応の少ないシルクシートの開発が急務である。 不溶シルクの配合を調整して、生体適合性の良いシルクシートを開発予定である。生体適合性の良いシートの開発が終われば、骨膜への応用研究を、分子生物学的、組織学的に解析していく予定である。
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