研究課題/領域番号 |
22K10208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
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研究分担者 |
杉野 紀幸 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10460445)
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
勝又 明敏 朝日大学, 歯学部, 教授 (30195143)
東 幸仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40346490)
高橋 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60345741)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 骨粗鬆症 / パノラマエックス線写真 / 皮質骨形態 / 脆弱性骨折 / 人工知能 / 骨折 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦における脆弱性骨折患者は増加の一途であり、国民医療費の増大を招いている。医科領域では質問票による骨粗鬆症スクリーニングシステムが開発され、臨床でも応用されているが、無症候性骨粗鬆症患者がスクリーニングシステム自体を受ける率は低い。そのため新しいスクリーニングの場が必要となっている。歯科医院では歯科治療のために年間1500万枚のパノラマX線写真が撮影されているが、我々はこれまでこの画像から得られる情報が骨粗鬆症スクリーニングに有用であるエビデンスを蓄積してきた。本研究ではこれに臨床所見を組み込み、スクリーニング補助をするための人工知能を用いた新たなスクリーニングシステムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は脆弱性骨折リスクを評価するための臨床所見と2年間の前向きトライアルにおける骨粗鬆症患者スクリーニングの結果について検証を行った。 臨床所見としては、前年度検証を行った歯数がやはり骨折リスク評価因子として挙がった。おぶせスタディの36名の対象者について平均8.4年追跡した結果、歯周病の有無についてはDXA(二重エネルギーX線吸収測定法)による大腿骨骨密度および腰椎骨密度変化量に差を認めなかったが、歯が22本以上ある対象者では、22本未満の対象者よりも骨密度減少量は少ない、あるいは増加量が多かった。このことから歯数が少ない場合、骨密度減少量は多くなる可能性が示唆された。最終年度ではおぶせスタディの追跡対象者の最終解析が200名近くになるために、より詳細な結果が期待できる。 2年間の前向きトライアルの対象は2022年2月から2023年11月に松本歯科大学病院にてパノラマX線写真を撮影した50歳以上の女性2,389名のうち、骨粗鬆症疑い(3型)と判定された236名とした。結果、3型と判定された患者の整形外科受診率は全体で15.2%であった。歯科放射線科医の説明を受けた患者の受診率は55.8%、受けなかった患者は8.3%となった。年代別受診率はそれぞれ50代:12.5%、60代:25.0%、70代:14.5%、80代:18.8%、90代:0%であった。歯科放射線科医の説明の有無による整形外科受診率には有意差を認めた(p<0.001)。整形外科を受診した患者の97.5%が骨量減少あるいは骨粗鬆症と判定された。この2年間の前向きトライアルでは、3型と判定された患者の受診率は院内に整形外科があるにも関わらず低かった。以上から、医科への受診率を向上させるためには歯科医師自身の骨粗鬆症への認識を高め、患者に骨粗鬆症検診の必要性を詳細に説明することが重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では人工知能によるパノラマX線写真での骨粗鬆症スクリーニングシステムの開発を主眼としている。そのために画像所見と組み合わせる臨床所見を初年度および2年目で評価したが、主体は現在歯数であることは判った。一方で実臨床の中における骨粗鬆症スクリーニングの問題点が浮かび上がり、人工知能をどのように応用して良いかの論点が明確になってきた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を元に、人工知能に臨床所見(年齢、体格および現在歯数)をパノラマX線写真の画像所見と組み合わせて、システムの構築を行う。これには2年前に評価を行った前向きトライアルデータに加え、最終年度に得られる臨床データも加えて最終評価を行う予定である。もしおぶせ研究の最終検証で「自己申告の歯周病因子」も予測因子と評価された場合、この因子も加える。
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