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腫瘍微小環境におけるPAR1を介した口腔癌の高度悪性形質獲得機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K10222
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57060:外科系歯学関連
研究機関九州大学

研究代表者

川野 真太郎  九州大学, 歯学研究院, 教授 (00398067)

研究分担者 服部 多市  九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (10897185)
中村 誠司  九州大学, 歯学研究院, 特任教授 (60189040)
金子 直樹  九州大学, 歯学研究院, 助教 (80805284)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードPAR1 / 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 腫瘍微小環境 / ΔNp63 / 上皮-間葉転換 / 口腔癌
研究開始時の研究の概要

癌の転移は、癌細胞の浸潤・遊走、免疫監視機構からの逃避、治療抵抗性など複数の過程を経て成立するが、これらは癌細胞と腫瘍微小環境構成細胞との相互作用によって進行することが知られている。しかしながら、浸潤・転移および治療抵抗性などの悪性形質獲得を規定する遺伝子の同定には至っていない。本研究は、浸潤先端部の癌細胞、癌関連線維芽細胞、および腫瘍随伴マクロファージに共通して発現しているprotease-activated receptor (PAR) 1に着目し、その機能を解析することによって、腫瘍微小環境において癌細胞が高度悪性形質を獲得する分子機構を明らかにしようとする試みである。

研究実績の概要

本研究 は、口腔扁平上皮癌(OSCC)の浸潤先端部の癌細胞、癌関連線維芽細胞(CAF)、および腫瘍随伴マクロファージ(TAM)に共通して発現しているprotease- activated receptor (PAR) 1に着目し、その機能を解析することによって、腫瘍微小環境において癌細胞が高度悪性形質を獲得する分子機構を明らかにしようとする試みである。
まず令和4年度ではOSCC生検標本を用いて、浸潤先端部におけるPAR1の発現を免疫組織学的に検索した。PAR1の発現様式から、全症例をGroup A:腫瘍細胞及び間質細胞がともに陰性、Group B:腫瘍細胞が陰性かつ間質細胞が陽性、Group C:腫瘍細胞および間質細胞が陽性 の3群に分類した。そこで、臨床所見ならびに病理組織学的所見との関連を検討したところ、Group Cは、Group A及びGroup Bと比較して組織学的悪性度の高い症例が多く、頸部リンパ節転移の発生頻度が有意に高かった。さらに、疾患特異的累積5年生存率はGroup Cが最も低かった。
そこで令和5年度では、口腔扁平上皮癌の細胞株を用いてPAR1の発現及び機能について研究を行ったところ、PAR1の発現は高転移株で最も高かった。さらに、PAR1の発現を抑制すると、上皮系マーカーの発現量増加、間葉系マーカーの発現量が減少していた。
これらの結果より、OSCC浸潤先端部の腫瘍細胞におけるPAR1の発現亢進により、OSCC細胞に上皮-間葉転換を誘導され、その結果としてOSCC患者の予後不良に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時、令和4年度については、以下の検討を行う予定であった。
1)口腔扁平上皮癌(OSCC)組織におけるPAR1およびΔNp63の発現の検索(目標症例300例) :現在、症例数は300例であり、概ね計画通りに進んでいる。ΔNp63との二重染色も同時進行で行っている。 2)OSCC細胞株におけるPAR1およびΔNp63の発現の検索 :当教室にて保有している5種類のOSCC細胞株(SQUU-A、SQUU-B、HSC-2、HSC-3、SAS)を用いて、PAR1およびΔNp63の発現を検索している。real-time PCR法での遺伝子検索が終了し、現在はタンパク質レベルでの発現の検索を行っている。さらにPAR1の発現抑制による機能解析も行なっており、上皮-間葉転換に関する新たな知見が得られている。以上より、本研究は概ね計画通りに進んでいるものと考えられる。現在、実験結果について統計学的解析を行っているところである。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、これまでの追加実験を行うとともに、以下の項目について研究を推進する予定である。 1)PAR1の発現抑制がOSCC細胞の増殖、分化、浸潤・遊走能に与える影響の検討 siRNA法によるPAR1ノックダウンが、OSCC細胞の増殖、分化、浸潤・遊走能に与える影響について検討する。それぞれMTT assay、invasion assay、wound healing assayにて検討する。また、各種上皮系マーカー、間葉系マーカー、およびEMT関連遺伝子の発現に与える影響についてreal-time PCR法 immunoblot法に て検索する。さらに、CAFおよびTAMとの共培養がOSCCの浸潤・遊走能に与える影響の検討についても検討を行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Expansion of CD4+ cytotoxic T lymphocytes with specific gene expression patterns may contribute to suppression of tumor immunity in oral squamous cell carcinoma: single-cell analysis and in vitro experiments2023

    • 著者名/発表者名
      Chen Hu、Sameshima Junsei、Yokomizo Shiho、Sueyoshi Tomoki、Nagano Haruki、Miyahara Yuka、Sakamoto Taiki、Fujii Shinsuke、Kiyoshima Tamotsu、Guy Thomas、Nakamura Seiji、Moriyama Masafumi、Kaneko Naoki、Kawano Shintaro
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 14 ページ: 1305783-1305783

    • DOI

      10.3389/fimmu.2023.1305783

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Prediction of nodal metastasis based on intraoral sonographic findings of the primary lesion in early-stage tongue cancer.2023

    • 著者名/発表者名
      Kawano S, Hattori T, Mikami Y, Chikui T, Kawazu T, Sakamoto T, Maruse Y, Tanaka S, Hamada E, Hiwatashi M, Shiraishi Y, Oobu K, Kiyoshima T, Nakamura S.
    • 雑誌名

      Int J Oral Maxillofac Surg.

      巻: 52 号: 5 ページ: 515-523

    • DOI

      10.1016/j.ijom.2022.08.021

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 当科における口腔癌手術症例の再発リスクについての後ろ向き検討2023

    • 著者名/発表者名
      濱田 栄樹, 金子 直樹, 樋渡 萌美, 鮫島 潤星, 末吉 智貴, 長野 晴紀, 坂本 泰基, 前原 隆, 大部 一成, 川野 真太郎
    • 学会等名
      第33回日本口腔内科学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌におけるCD3+T細胞のシングルセル遺伝子発現解析と新規治療標的となりうるグランザイムK産生細胞傷害性T細胞の同定2023

    • 著者名/発表者名
      古賀 理紗子, 前原 隆, 青柳 龍一, 宗村 龍祐, 村上 祐香, 中村 誠司, 川野 真太郎
    • 学会等名
      第33回日本口腔内科学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌における浸潤CD3+T細胞のシングルセル遺伝子発現解析2023

    • 著者名/発表者名
      前原 隆, 古賀 理紗子, 青柳 龍一, 宗村 龍祐, 川野 真太郎, 中村 誠司
    • 学会等名
      第47回日本頭頸部癌学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 九州大学 研究者情報

    • URL

      https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002902/thesisList.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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