研究課題/領域番号 |
22K10229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
藏滿 保宏 北海道医療大学, 医療技術学部, 教授 (50281811)
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研究分担者 |
良沢 昭銘 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60363123)
永易 裕樹 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90265075)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 口腔扁平上皮癌 / 被膜化 / 被包化 / プロテオーム / トランスクリプトーム / 浸潤 / 転移 |
研究開始時の研究の概要 |
HCCの被膜維持が癌の浸潤・転移抑制の一因となる可能性を仮定し、被膜維持と破綻を分子レベルでの比較により被膜維持に関与する分子を同定し、OSCC組織の被包化を試みる。具体的には以下の3つの問いに対して被膜(+)vs被膜(-)HCC組織の比較プロテオーム解析ならびにトランスクリプトーム解析、さらに被膜維持関連分子制御によるOSCC被包化の実験的試みにより対応する。問1. 口腔扁平上皮癌(OSCC)の浸潤・転移をどうやって防止できるのか?問2. 肝細胞癌(HCC)の被膜を保持しているメカニズムはどうなっているのか?問3. HCCの被包化保持を活性化させる機序でOSCCを被包化できるのか?
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研究実績の概要 |
当研究では『外科的切除で完全に切除できなかった口腔扁平上皮癌をまるごと包み込んで周りの組織に浸潤できなくする』こと、即ち残余癌を被包化することで、周辺の組織に浸潤するのを阻害させることで残余癌の浸潤を抑える事を最終目標としている。つまり本研究では、これまでの転移抑制の試みとは全く異なるアプローチで『外科的切除で完全に切除できなかった口腔扁平上皮癌をまるごと包み込んで周りの組織に浸潤できなくする』ことを目的としている。 口腔扁平上皮癌(OSCC)を被包化して浸潤阻害するために、初期のHCC被膜のメカニズムを利用している、このHCCの被膜維持に必須の分子を同定し、活性化させることで被膜形成を行いOSCC組織を被包化することができれば、外科切除術後に再発・浸潤・転移する癌から患者を守ることが期待できる。 共同研究施設である山口大学附属病院第二外科から被膜化肝細胞癌組織と被膜破綻肝細胞癌組織を供与してもらい、それらの比較プロテオーム解析と比較トランスクリプトーム解析によって被膜化維持分子を同定することを予定している。 共同研究施設から被膜化肝細胞癌組織のFFPEブロック6例、被膜破綻肝細胞癌組織FFPEブロック12例、被膜化していない肝細胞癌組織FFPEブロック11例を供与してもらい、まず被膜成分同定のために北海道大学病院バイオバンクでレーザーマイクロダイゼクション(LMD)を用いて被膜成分のみ抽出した。トリプシン処理も完了して北里大学理学部附属疾患プロテオミクスセンターの小寺義男教授に被膜成分の同定を依頼済みである。 さらに、被膜化肝細胞癌組織、被膜破綻肝細胞癌組織、被膜化していない肝細胞癌組織の全てのFFPEブロックから癌部と非癌部をLMDを用いて抽出した。現在DNAマイクロアレイを用いてトランスクリプトーム解析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)共同研究施設である山口大学病院から被膜化肝細胞癌組織と被膜破綻肝細胞癌組織を供与してもらい、それらの比較プロテオーム解析と比較トランスクリプトーム解析によって被膜化維持分子を同定しているが、先方の倫理委員会の承認を得るのに予想以上に時間がかかったことが遅れの理由の一つである。 (2)LMDは北大病院バイオバンクでライカ社の最新の機器を利用させてもらっているが、切除した組織の回収にかなり時間がかかり、1日かけて1症例分しか回収できなかったため、時間がかなり取られたことが遅れの理由の二つ目である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)LMDによって切り出した被膜成分を既にFFPEから抽出し、トリプシン消化を完了して共同研究者である北里大学理学部附属プロテオミクスセンターに送付して質量分析を行ってもらっているので、その結果を待っている段階であるが、被膜成分の蛋白質同定ができれば、下記の(4)でターゲット遺伝子(蛋白質)の同定のためのモニター分子として用いる。 (2)被膜成分ではない癌組織の癌細胞と周辺の間質細胞部分をLMDによって切り取っているので、それらを用いて被包化有りのサンプルと被包化なしのサンプルの比較プロテオーム解析を、二次元電気泳動と質量分析によって行う。 (3)同組織を用いて被包化有りのサンプルと被包化なしのサンプルの比較トランスクリプトーム解析を、DNAマイクロアレイによって行う。 (4)上記のプロテオーム解析とトランスクリプトーム解析によって同定された被包化関連候補分子をヒト線維芽細胞に遺伝子導入して強制発現させて、被膜成分の分子の発現増強の有無をモニターしながら候補分子を決定する。
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