研究課題/領域番号 |
22K10237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸岡 亮 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (30826946)
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研究分担者 |
大久保 和美 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10396715)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マクロファージ / 創傷治癒 / 歯肉退縮 |
研究開始時の研究の概要 |
矯正歯科治療で生じる歯肉退縮には、感染と炎症が潜在することが指摘されており、炎症性のM1マクロファージから抗炎症性・組織修復性のM2マクロファージへの移行が阻害されている。本研究では、歯肉退縮と共通の過程を経る口腔粘膜潰瘍モデルを活用し、マクロファージを用いた新規治療法の確立に向けた検討を行う。口腔粘膜潰瘍モデルマウスを用いて、粘膜損傷治療過程におけるマクロファージの経時的なポピュレーション変化を解析し、その過程に与える影響を検討する。さらに、様々なポピュレーションのマクロファージ投与の影響を比較検討し、歯科矯正治療における重要課題である歯肉退縮に対する新規治療法につながる知見を得る。
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研究実績の概要 |
マクロファージをヒアルロン酸存在下で培養することにより、VEGFを高発現するM2d様マクロファージに分極するという結果を受けて、これを説明するメカニズムの一端を解明することを目的に、マウス脾臓由来マクロファージにおけるヒアルロン酸に対する受容体の検討を行った。一般的なヒアルロン酸受容体であるCD44の、マウス脾臓由来マクロファージにおける発現を確認するために、マクロファージ全体のマーカーであるF4/80およびCD44に対する蛍光標識抗体で細胞を二重蛍光標識してFlow cytometryによる解析を行った。その結果、F4/80陽性細胞、すなわちマクロファージのほとんどでCD44が陽性であった。次に、CD44のmRNA配列に対して特異的なsiRNAを作製し、これをマクロファージに導入してCD44をノックダウンした。その結果、ヒアルロン酸存在下の培養条件において、Ym-1、Arginase、IL-10などのM2マクロファージマーカーはコントロール群と比較して低下し、VEGFの発現も低下したことから、マウス脾臓由来マクロファージにおいては、CD44がヒアルロン酸の受容体として働くことでM2d様のマクロファージに分極することが示された。 また、口腔粘膜の欠損を生じるモデルとして、マウス顎骨壊死モデルの作製法を検討し、ビスフォスフォネートの一種であるゾレドロネート投与と、歯牙の結紮による炎症・感染惹起の影響を組織学的に解析した。その結果、ゾレドロネート投与と結紮の両者を行うことで、粘膜修復が不良となることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロファージ分化法が確立され、そのメカニズムの一端も明らかになっている。また、動物モデルの確立も進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
口腔粘膜の欠損を生じるモデルとしてのマウス顎骨壊死モデルについて、粘膜修復が不良となるメカニズムを明らかにする。すなわち、細胞死の様相をアポトーシスやネクロプトーシスの指標となる分子に対する免疫染色などで明らかにするとともに、マクロファージの出現や分極状態などについても組織学的な解析を行う。 また、調製した脾臓由来M2d様マクロファージを、粘膜欠損モデルや皮膚欠損モデル、あるいは骨欠損モデルなどに投与することで、その組織修復効果を明らかにする。
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