研究課題/領域番号 |
22K10239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小川 卓也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50401360)
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研究分担者 |
田中 敏博 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (50292850)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 希少遺伝性疾患 / 横断的オミクス解析 / 歯数・形態異常 |
研究開始時の研究の概要 |
網羅的なゲノム解析技術の発展に伴い、歯の形態形成に関与する様々な遺伝子が明らかになってきたが、ヒトにおける形質情報との因果関係を明らかにするには至っていない。そこで、本課題では、疾患患者から得られた歯細胞を用い、組織特異的な横断的オミクス解析により、疾患ゲノム情報を中心に、症状ならびに遺伝子発現量の違いを分野横断的に統合することで、疾患病態の解明ひいては歯数ならびに形態を決定する運命因子を同定することを目的とした。本研究は、歯科領域からヒト疾患ゲノム情報の適切な解釈と社会実装の推進が期待される。
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研究実績の概要 |
本課題では、疾患患者から得られた歯細胞を用い、組織特異的な横断的オミクス解析により、疾患ゲノム情報を中心に、症状ならびに遺伝子発現量の違いを分野横断的に統合することで、疾患病態の解明ひいては歯数ならびに形態を決定する因子の同定を目的とした。2023年度の研究実績の概要を以下に示す。 歯根の過伸長を認めるBCOR遺伝子にフレームシフト変異を有するoculo-facio-cardio-dental (OFCD) 症候群患者の歯根膜細胞(Mut-PDL)において、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)の中心的な因子であるup-frameshift protein 1 (UPF1)をノックダウンし歯根形成関連因子の発現量をqPCR法により解析したところ、OCN、ALP、RUNX2の発現量は有意差を認めないもののやや上昇傾向を示し、DSPの発現量は有意に上昇した。一方、BMP2の発現量は有意に低下した。また、UPF1の過剰発現により、OCN、ALPおよびBMP2の発現量は有意に上昇した。Mut-PDLにおけるUPF1のノックダウンならびに過剰発現の結果、相反する発現パターンを示すBMP2に着目したところ、Mut-PDLにおけるBMP2の発現量は、健常者女性の歯根膜細胞と比較して有意に低下していた。さらに、ヒト歯根膜線維芽細胞株にWT-BCOR を過剰発現させたところ、BMP2 の発現量は有意に上昇し、Mut-BCORによりBMP2の発現量は有意に低下した。 以上より、OFCD症候群患者の歯根膜細胞において、BCORのフレームシフト変異により生じた早期終止コドンにUPF1が結合しNMDが生じ、BMP2の発現量を調節することで歯根長の異常を引き起こしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OFCD症候群以外にも、short root anomalyにおいてゲノム解析並びに患者から得られる臨床情報を統合して、疾患発症要因ならびに責任遺伝子の機能の解明を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き希少遺伝性疾患患者のゲノム解析ならびに疾患組織から得られた情報を分野横断的に統合させることで、歯の数ならびに形態を規定する分子機構を明らかにしていく。具体的には、次世代シークエンサーを用いたRNAシークエンスにより、mRNAを中心に発現変動を網羅的に解析することで、直接遺伝子発現量に影響を与える転写調節領域の変異や転写因子の異常のほか、alternative splicing産物や染色体リアレンジメントななど構造異常による融合遺伝子産物の検出を行う。
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