研究課題/領域番号 |
22K10253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
郡司掛 香織 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90448811)
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研究分担者 |
川元 龍夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50323704)
白川 智彦 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50908225)
黒石 加代子 (中尾加代子) 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60468303)
水原 正博 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60845402)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 歯根吸収 / ATP / VNUT / 歯髄細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
矯正歯科治療によって歯の根が溶ける現象(歯根吸収)が起こることが知られている。歯根吸収が発生する機序について、これまで歯の根の周囲にある歯根膜から産生される炎症の重要な調節因子(炎症性サイトカイン)ばかりが注目されてきたが、歯の神経(歯髄)を治療によって取った歯では、歯髄を取っていない歯よりも歯根吸収が起こりにくいことから、歯髄も矯正歯科治療時に生じる歯根吸収に関係していると考えられる。そこで本研究では近年細胞間の情報を伝達する物質として注目されているアデノシン三リン酸(ATP)に焦点を当て、歯髄を介したATPによる矯正歯科治療時の歯根吸収の発生メカニズムの解明を目的とする。
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研究実績の概要 |
矯正歯科治療に伴って生じる歯根吸収は、ほぼ全ての患者に起こる重要な問題である。歯根吸収の発生機序について、これまで歯根膜の炎症性サイトカインばかりが注目されていたが、抜髄された歯では生活歯より歯根吸収が起こりにくいことや、根尖部に歯根吸収が起こりやすいことから、歯髄も矯正歯科治療時に生じる歯根吸収に関係していると考えられる。本研究では近年細胞間情報伝達物質として注目されているアデノシン三リン酸(ATP)に焦点を当て、歯髄を介したATPによる矯正歯科治療時の歯根吸収の発生メカニズムの解明を目的とする。 予備実験として培養ヒト歯根膜細胞(HPDL細胞)にメカニカルストレスとして遠心力を付与したところ、細胞外へのATPの放出が増加し、定量的RT-PCRより細胞外へのATP放出に関与するVNUT(小胞型ヌクレオチドトランスポーター)の発現も増加した。HPDL細胞にVNUT阻害薬であるクロドロネートを培養液に添加して遠心力を付与したところ、ATPの放出が抑制された。 この実験手技と同様に、矯正歯科治療に伴う便宜抜歯された歯から歯髄を取り出し培養してヒト歯髄細胞として実験をおこなった。矯正歯科治療時には歯髄内が低酸素状態になることが以前の研究で明らかとなっているため、培養ヒト歯髄細胞を脱酸素剤を用いて培養し、VNUTの発現をRT-PCRとWestern blot法で確認したところ、VNUTの発現が減少した。この結果から矯正治療時には歯髄ではVNUTを介したATPの放出が少ない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト歯髄細胞の培養を用いてin vitroの実験を行ったが、歯根膜細胞と異なり、想定と違う結果が示され、研究の方向性を検討する必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
歯髄細胞として患者から同意を得て便宜抜歯した歯のプライマリーの細胞を用いているが、個体差が著しいために結果が安定しない可能性がある。個体差のないセルラインを用いることを検討する。また低酸素状態下で培養したときのATPの細胞外放出量を確認する。ATPの放出が増加しているならば、VNUTではなくコネキシン43(ギャップ結合を形成する膜貫通 タンパク)、パネキシン1(大きな孔のATP放出チャネルを形成するタンパク)の関与を検討する。
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