研究課題/領域番号 |
22K10268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大継 將寿 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40803086)
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研究分担者 |
仲野 和彦 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00379083)
野村 良太 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90437385)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ミュータンスレンサ球菌 / 感染性心内膜炎 / コラーゲン結合タンパク質 / 定着メカニズム / 口腔内細菌数 / 口腔細菌叢 / コラーゲン結合タンパク / 予防 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、う蝕病原性細菌のうち菌体表層にコラーゲン結合タンパクを発現しているミュータンスレンサ球菌(CBP 陽性株)が、感染性心内膜炎や脳出血などの全身疾患に関与していることを明らかにしてきた。一方で、これらの予防法については明確に確立できておらず、CBP 陽性株を口腔内に定着させないことが根本的な予防策といえる。本研究では、CBP 陽性株の口腔における定着部位、定着時期および定着メカニズムの特性や、CBP 陽性株を有する小児の口腔細菌叢の特性について明らかにすることで、CBP 陽性株の口腔内への定着を抑制する方法を確立するとともに口腔領域から全身疾患の予防法を提唱したいと考えている。
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研究実績の概要 |
齲蝕病原性細菌であるミュータンスレンサ球菌のうち、菌体表層にコラーゲン結合タンパクを発現しているCBP陽性株は感染性心内膜炎の病原性に関与するとともに、脳内微小出血や IgA 腎症などの全身疾患を有する患者の口腔検体から高頻度で検出されることが複数の臨床疫学研究から明らかになっている。ミュータンスレンサ球菌は通常、養育者と子の間で伝播する傾向が強いとされているが、全身への病原性が高いとされるCBP陽性株の定着環境についてはこれまでに検討されていなかった。 前研究課題から本研究課題にわたり、CBP陽性株は通常のミュータンスレンサ球菌と同様に母子伝播の傾向が強いこと、CBP陽性株を保有する小児は母乳育児期間が短く、母乳摂取経験がない小児も多いことが明らかになり、母親は小児へのCBP陽性株の主要な感染源であるとともに、乳幼児期の授乳習慣がCBP陽性株の口腔内の定着に影響を及ぼす因子である可能性を示すことができた。 小児におけるCBP陽性株の定着環境のさらなる解明のため、小児における口腔内細菌数の分析およびCBP陽性株に対する母乳中含有成分の効果の検証を進めている。口腔内細菌数の分析では、大阪大学歯学部附属病院小児歯科を受診した小児を対象に、舌表面に付着する口腔内細菌数と唾液中ミュータンスレンサ球菌数の相関分析や、菌数の多い小児の特徴を分析している。CBP陽性株に対する母乳中含有成分の効果の分析では、10mg/mgのリゾチーム下にてミュータンスレンサ球菌は死菌となる一方で、CBP陽性株ではコラーゲン結合能が消失しないことが明らかになった。今後は、CBP陽性株に対する母乳中濃度でのリゾチームの効果、ラクトフェリンの効果、およびリゾチームとラクトフェリンの両方の存在下での効果について分析を進めるとともに、CBP陽性株の口腔粘膜への定着に母乳中抗菌成分が影響を及ぼすかどうかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の1つは、全身疾患との関連性が高いう蝕病原性細菌の乳幼児期における定着環境の解明と定着予防法を検討することであった。現在までに、乳幼児期の授乳習慣がCBP陽性株の口腔内の定着に影響を及ぼす因子である可能性を示すことができ、国際学術誌への掲載に至っている。また、本研究の背景の根底にある乳幼児期の齲蝕の実態についても、1つの中核市において1歳6か月児および3歳6か月児における齲蝕の罹患率およびリスクファクターを明らかにするとともに、1歳6か月時までの口腔環境および生活習慣が長期的に齲蝕リスクに影響を与えることを明らかにした。その上で、小児における口腔内細菌数の分析を開始しており、母乳中含有成分の効果の分析ではリゾチームのCBP陽性株に対する特性を明らかにするとともに、ラクトフェリンを用いた分析に着手できていることから、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
口腔内細菌数の分析では、まずは現状の臨床研究においてを継続し、小児において舌表面に付着する口腔内細菌数は唾液中ミュータンスレンサ球菌数に依存するかどうかを検討する。また、舌表面に付着する口腔内細菌数が多い小児の生活習慣の特徴や身体的特徴を明らかにする。さらに検出されたミュータンスレンサ球菌の分子生物学的分析を行い、CBP陽性株保有児の特徴を明らかにする。 CBP陽性株に対する母乳中含有成分の効果の分析では、まずはミュータンスレンサ球菌に対するリゾチームおよびラクトフェリンの抗菌効果、増殖抑制効果、およびバイオフィルム抑制効果の分析を行う。さらに、リゾチームおよびラクトフェリンにて処理されたミュータンスレンサ球菌の構造変化を電子顕微鏡にて観察するするとともに、CBP陽性株のコラーゲン結合能の分析を行うことでリゾチームおよびラクトフェリンがCBP陽性株のコラーゲン結合能へ与える影響について明らかにする。
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