研究課題/領域番号 |
22K10272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣瀬 尚人 広島大学, 病院(歯), 講師 (50611935)
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研究分担者 |
谷本 幸太郎 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20322240)
矢野下 真 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20823199)
國松 亮 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (40580915)
麻川 由起 (丹根由起) 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50526241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 顎関節症 / 特発性下顎頭吸収 / 軟骨細胞 / エストロゲン / タモキシフェン / 11R-VIVIT / 変形性顎関節症 / 機械的負荷 / NFATC / 軟骨組織 / 骨組織 / 下顎頭 |
研究開始時の研究の概要 |
特発性下顎頭吸収(Idiopathic Condylar Resorption : ICR)は、下顎頭の吸収性変化を短期間で生じる難治性疾患で、女性の罹患率が優位に高い特徴があります。発症すると咬合の崩壊および顔貌の変形を生じ、現在のところ治療法も予防法も存在しません。申請者らはこれまでの研究で明らかにしたカルシニューリン-NFATCを介した軟骨破壊メカニズムに加え、エストロゲン受容体-NFATの相互作用がICR発症に強く関与していると考えている。そこでICRに対しNFAT活性を特異的に抑制する11R-VIVITと抗エストロゲン薬タモキシフェンの併用療法の確立を目指した研究計画を立案した。
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研究実績の概要 |
軟骨細胞ATDC5におけるエストロゲンレセプター(ERαとβ)の発現パターンを蛍光免疫染色において確認した。いずれも分化14日~21日までの期間で発現が観察された。次にエストロゲンが軟骨細胞に与える影響を観察するため、エストロゲン投与量を変化させつつIL-1βとMMP-13の発現の変化をウェスタンブロット法にて観察したところ、エストロゲン投与の10分後から2時間後までの両者の発現が更新したことより、炎症が亢進したと判断した。次にエストロゲンを添加した状態で(1/10-7mol/L, 1/10-5mol/L エストロゲン)機械的負荷を軟骨細胞に与えたところ、MMP13,COX2において発現が亢進した。エストロゲンは機械低負荷のメカニクスを軟骨破壊の方向に増強することが明らかとなった。また同様の実験に対しタンパク発現をウェスタンブロット法にて確認したところ、IL-βおよびMMP3,13が1/10-7mol/Lにおいて有意に発現亢進した。 in vivo実験としてラットにOVXを施術しエストロゲン血中濃度を低下させ、下顎頭形態を観察した。軟骨組織に一部増殖様の変化が認められたが想定したような吸収性変化は確認されていない。今後機械的負荷を追加した状態での変化を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
軟骨細胞に対する炎症発現の方法を、機械的刺激を付加する方法で与えているが、実験が安定していない。よって現在は薬剤を用いた他の方法で炎症を惹起し実験を継続している。またin vivo実験において、低エストロゲン状態を作るためにOVXを雌ラットに施し、組織切片によって観察しているが、骨の異常な吸収は認められない。よってエストロゲンが渇望しただけで骨破壊が助長されることはないと考えられた。当初の予定であったタモキシフェンおよび11R-VIVITのラットへの投与が行われていないため、早急に実験を開始したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro実験において、エストロゲン添加が炎症を惹起すること、また機械的刺激による炎症を促進することが明らかとなっているため、ここへ抗エストロゲン薬のタモキシフェンを添加する実験を早急に行いたい。またin vivo では当初の予定であったタモキシフェンおよび11R-VIVITのラットへの投与が行われていないため、早急に実験を開始する。またこれらエストロゲンが軟骨の炎症を惹起する流れは、近年報告されているエストロゲンの抗炎症作用、骨保護作用とは逆の反応になるため、解釈をよく検討する必要がある。
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