研究実績の概要 |
本年度は,地域在住高齢女性のオトガイ舌骨筋の硬度と舌運動機能,筋力,筋量との関連を明らかにすることを目的に検討を行った。 対象は K市で開催された体力測定会に参加した高齢者女性127名で,方法として,超音波診断装置を用いてオトガイ舌骨筋,コントロールとして大腿直筋の硬度測定を行った。対象者には座位で下顎安静位を指示し,オトガイ舌骨筋は顎下部中央にてオトガイ隆起と舌骨先端を結んだ直線にプローブを平行に設置し,下顎骨正中と舌骨先端を結んだ直線の中点より腹側をオトガイ舌骨筋前方,背側をオトガイ舌骨筋後方とした。舌運動機能としてオーラルディアドコキネシス(/pa/, /ta/, /ka/),筋力として舌圧,筋量として舌断面積,オトガイ舌骨筋断面積の測定を行い,オトガイ舌骨筋の硬度と舌運動機能,筋力,筋量との関連を単変量解析後,多変量解析を行った。 結果と考察として,オトガイ舌骨筋前方の硬度は,/ta/(r = -0.237, p = 0.01), /ka/ (r = -0.183, p = 0.048)と負の相関を示し,オトガイ舌骨筋後方の硬度は,/pa/(r = -0.237, p = 0.01), /ta/(r = -0.185, p = 0.044), /ka/(r = -0.192, p = 0.036)と負の相関を示した。年齢を調整した多変量解析にて,オトガイ舌骨筋後方の硬度は, /ta/と負の関連を示した(β = -0.189, p = 0.037)。一方,舌圧,舌断面積,オトガイ舌骨筋断面積,大腿直筋硬度との関連は認めなかった。 オトガイ舌骨筋の硬度は,舌運動機能に関連する可能性が示唆された。
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