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嚥下障害患者に用いるとろみ調整食品の栄養吸収代謝に関わる基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K10309
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57080:社会系歯学関連
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

中川 量晴  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60585719)

研究分担者 吉見 佳那子  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90822560)
戸原 玄  東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 教授 (00396954)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード摂食嚥下障害 / 栄養 / 代謝 / とろみ調整食品 / ラット / 栄養吸収 / 栄養代謝
研究開始時の研究の概要

加齢や摂食嚥下障害などに起因する誤嚥性肺炎や低栄養への対応は、超高齢社会であるわが国の重要な課題の一つである。誤嚥性肺炎や低栄養を予防するため食物や水分にとろみ調整食品を使用することがあるが、それに添加されているキサンタンガムは脂質吸収の抑制や血糖値上昇抑制効果があることが指摘されている。
そこで本研究では、とろみ調整食品を長期摂取させたモデル動物を用いて、栄養吸収や代謝に影響する消化管ホルモンは何か網羅的遺伝子発現を解析し、基礎的データを取得する。本研究の成果により、歯科学・栄養学領域に栄養管理の視点を新たに付し、摂食嚥下障害患者のQOL向上に寄与し得る斬新的なアプローチの創出につながる。

研究実績の概要

誤嚥性肺炎を予防するため水分にとろみ調整食品を使用することがあるが、それに添加されているキサンタンガムは脂質吸収の抑制や血糖値上昇抑制効果がある。しかしながら、嚥下障害患者のために使用される食品としての栄養学的な検討はされていない。本研究はとろみ調整食品を長期間摂取することで、
(1)栄養状態が変化するか明らかにすることと(2)消化管ホルモンの栄養吸収や代謝に関する基礎的データを取得することを目的とする。
初年度は、6週齢のSprague-Dawley(SD)ラットに、キサンタンガム系とろみ調整食品を生理食塩水に溶解し5週間摂取させた。また5週後に消化管を採取し、インスリン分泌に関わるGLP1遺伝子発現量をqPCR法を用いて解析した。その結果、とろみ調整食品摂取により回腸のGlp1遺伝子発現が増加していた。また、次世代シークエンシングによる回腸の遺伝子発現と腸内細菌叢の網羅的解析により、とろみ調整食品の長期摂取で回腸の糖・脂質代謝関連遺伝子発現量と腸内細菌叢の変化が起こることを明らかとした。
2年目は、SDラットを4群(A群: 液体飼料群、B群: 0.5%とろみ調整群、C群:1%とろみ調整群、D群:1.5%とろみ調整群)に分け、同様にB-D群にキサンタンガム系とろみ調整食品を生理食塩水に溶解し摂取させた。その結果、腎臓重量はA群と比較してD群で有意に低値を示した。肝臓、精巣上体脂肪重量は各群間に有意な差は見られなかった。血液生化学検査では、TGはA群と比較してCおよびD群が、GLUはA群と比較してD群が、それぞれ有意に低値を示した。
本研究の成果は、キサンタンガム系とろみ調整食品の摂取が糖・脂質代謝を改善する可能性を示唆するとともに、摂食嚥下障害患者のとろみ調整食品使用に関する基礎的データを蓄積し、摂食嚥下リハビリテーションの分野における患者の栄養管理計画立案に寄与するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に、研究目的(2)の消化管ホルモンの栄養吸収や代謝に関する基礎的データを、若年ラットを用いて解析した。2年目に研究目的(1)栄養状態が変化するか検証した。プレスタディの論文は、令和4年度に国際誌に投稿し受理された。予定通り、順調に進行している。

今後の研究の推進方策

必要なデータの蓄積は概ね完了したが、最終年度はコントロール群ととろみ調整食品摂取群のデータを比較し、追加実験の必要性を検討する。追加データが必要な場合は、初年度、2年目と同様の実験プロトコルでラットを飼育し、データを取得する。得られたデータから、とろみ摂取動物に特徴的な変化とその利用を考察し、臨床応用への可能性を模索する。研究成果は関連学会に発表し、国際誌に投稿する準備を進める。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Xanthan gum-based fluid thickener decreases postprandial blood glucose associated with increase of Glp1 and Glp1r expression in ileum and alteration of gut microbiome2022

    • 著者名/発表者名
      Nagasawa Yuki、Katagiri Sayaka、Nakagawa Kazuharu、Hirota Tomomitsu、Yoshimi Kanako、Uchida Aritoshi、Hatasa Masahiro、Komatsu Keiji、Shiba Takahiko、Ohsugi Yujin、Uesaka Naofumi、Iwata Takanori、Tohara Haruka
    • 雑誌名

      Journal of Functional Foods

      巻: 99 ページ: 105321-105321

    • DOI

      10.1016/j.jff.2022.105321

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 人と生活を支える訪問での摂食嚥下の診療2023

    • 著者名/発表者名
      中川 量晴
    • 学会等名
      日本老年歯科医学会第34回学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 長澤祐季,中川量晴,吉見佳那子,内田有俊,山口浩平,中根綾子,戸原 玄2022

    • 著者名/発表者名
      とろみ調整食品の摂取が消化管に及ぼす影響 -ラットを用いた基礎的検討-
    • 学会等名
      第28回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 吉澤 彰,中川量晴,吉見佳那子,長澤祐季,齋木章乃,山口浩平,中根綾子,戸原 玄2022

    • 著者名/発表者名
      とろみづけした難消化デキストリン配合炭酸水が嚥下障害患者の脂質異常症軽快に寄与した1例
    • 学会等名
      第28回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Nagasawa Y, Nakagawa K, Yoshimi K, Uchida A, Tohara H.2022

    • 著者名/発表者名
      Effect of xanthan gum-based fluid thickener for dysphagia patients with diabetes mellitus.
    • 学会等名
      European Society for Swallowing Disorders 12th annual congress
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 長澤祐季 ,中川量晴,戸原 玄2022

    • 著者名/発表者名
      嚥下障害患者が用いるとろみ剤は、 Glp1とGlp1rの発現上昇および 腸内細菌叢の変化を伴って食後血糖を低下させる
    • 学会等名
      先端歯学スクール2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 長澤祐季,中川量晴,吉見佳那子,内田有俊,吉澤彰,玉井斗萌,山口浩平,中根綾子,戸原玄2022

    • 著者名/発表者名
      嚥下障害患者が使用するとろみ剤が血糖値や消化管ホルモンに与える影響-ラット遺伝子の発現量解析-
    • 学会等名
      日本老年歯科医学会第33回学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 長澤祐季 ,中川量晴,吉見佳那子 ,内田有俊, 玉井斗萌, 吉澤彰, 山口浩平,中根綾子,戸原 玄2022

    • 著者名/発表者名
      嚥下障害に用いるとろみ剤は グルコース吸収に影響を及ぼすか -ラット消化管ホルモンの遺伝子発現解析-
    • 学会等名
      第37回日本臨床栄養代謝学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] さかえ:月刊糖尿病ライフ 摂食嚥下障害とリハビリテーション最前線2023

    • 著者名/発表者名
      中川 量晴
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      時事通信出版社
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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