研究課題/領域番号 |
22K10311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂中 哲人 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (90815557)
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研究分担者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (00303983)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 難培養歯周病菌 / Fusobacterium / 異種細菌間相互作用 / 栄養共生 / 種間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌叢解析技術の進歩により、これまで分離培養が困難であった多くの細菌が歯周病に関与している実態が明らかになってきた。近年これらの細菌の分離培養が可能になり基準株が利用できるようになったが、その生育には特定の口腔常在菌の培養上清あるいは菌体成分が必要不可欠であることが分かっている。そこで本研究では、in silicoおよび独自の共培養メタボロミクス測定系を活用し、口腔常在菌から難培養菌に提供される扶養因子を探索し、難培養菌の栄養依存機構および生存戦略を紐解き、謎に満ちたその生態や歯周病の病態形成における役割を理解することで歯周病因論の深化を目指す。
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研究実績の概要 |
次世代シークエンサーの登場により、従来分離培養が困難だった多くの細菌が歯周病に関与している実態が明らかになってきた。これらの難培養菌は「歯周病菌ダークマター」と呼ばれ、その病因論的な役割への関心が高まっている。最近では、いくつかの難培養歯周病菌を分離培養することが可能になり、これには口腔常在菌であるFusobacterium nucleatumの培養上清や菌体成分が不可欠であることがわかっている。我々の研究でF. nucleatumは、歯肉縁下細菌叢の代謝ネットワークの中心として微生物共同体の栄養的なつながりを強化し、歯肉縁下バイオフィルムの構築および高病原化において中心的な役割を担っている可能性が示されている。本研究では、in silico手法と独自の共培養メタボロミクス測定系を用いて、F. nucleatumから難培養歯周病菌へ提供される扶養因子を探索し、これらの菌の栄養依存機構や生存戦略を解明する。これにより、歯周病菌ダークマターの生態や病態形成に関する研究を進展させるとともに、F. nucleatumの病因論的な役割に新たな光を当てることを目指す。 当該年度も昨年度に引き続き、公共データベースのゲノム情報を活用して、F. nucleatumに依存する難培養歯周病菌の栄養戦略のin silico解析を発展させ、増殖を支える扶養因子を探索した。同時に、理研・微生物材料開発室から提供された難培養歯周病菌の培養条件に改良を加え、メタボローム解析に必要な菌量を確保できるよう最適化を行った。またF. nucleatumとの共培養実験を進め、メタボローム解析のための条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in silicoでの解析環境の整備と発展は順調に進んでおり、最終年度に何らかの知見が得られることが見込まれる。また細菌学的な実験については、難培養歯周病菌のルーチン培養法の最適化を行い、メタボローム解析に必要な菌量を確保できるよう努めるとともに、今後の共培養メタボロミクス実験に向けた条件検討を進め、最終年度の解析が順調に進むよう取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初計画通り研究を推進する。in silico解析では特に、F. nucleatum subsp. animalisやF. nucleatum subsp. vincentiiなど、F. nucleatumの異なる菌株間での代謝能の差異にも着目し、それが難培養歯周病菌との相互作用にどのような影響を与えるか検討する。また実験的手法に関しても、最終年度にデータ創出と解析が順調に進むよう、できるだけ多くの菌量が確保できるよう最適化を進め、研究をまとめることを念頭に計画を推進する。
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