研究課題/領域番号 |
22K10325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
辻 要 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80632083)
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研究分担者 |
堂前 英資 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (50454559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | Vγ9Vδ2 T細胞 / 口腔癌 / 免疫チェックポイント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はVγ9Vδ2T細胞による口腔癌免疫療法の開発を目指した基礎研究である。癌免疫におけるT細胞の抑制はPD-1やCTLA-4によって生じることが知られているが、新たな免疫チェックポイント分子の存在も明らかになってきている。これらの背景を踏まえ、本研究では口腔癌の免疫療法開発に向けて、免疫チェックポイント分子を網羅的に解析することで標的とすべきチェックポイント分子を同定し、Vγ9Vδ2T細胞の免疫チェックポイント阻害による活性化状態を維持する新たな手法の開発を目標とする。
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研究実績の概要 |
ヒト口腔癌細胞株のPD-L1発現はウエスタンブロット法では検出できるものの、FACSを用いた評価では細胞表面での発現は検出できないか低レベルでの発現が確認できる程度であった。そのため、PD-L1の細胞表面への表出の制御機構に着目して実験を行っている。PD-L1の発現上昇にはインターフェロンγなどの制御が知られているが、抗癌剤として用いられるCDK阻害剤などにもPD-L1の発現を促進するものがあり、またこれらの抗癌剤に耐性を獲得した癌細胞も存在する。 現在、薬剤耐性癌細胞株を用いてPD-L1発現促進作用をもつ抗癌剤がPD-L1発現に及ぼす影響をFACSを用いて検討している。さらに、薬剤耐性を持つ口腔癌細胞株は市販されていないため、各種口腔癌細胞株を用いて薬剤耐性を獲得させるべく培養を行っている。そのなかでHSC-3、HSC-4、SAS、HO-1N-1、SKN3などが薬剤濃度を高めても増殖できるようになっている。またこれらの細胞株は薬剤排出トランスポーターであるABCB1(p-gp)の発現が恒常的に上昇していることをFACSで確認した。細胞株によってはABCG2、ABCC1の発現が上昇しているものもあることを確認している。現在、これらの細胞株を用いてPD-L1発現促進作用のある抗癌剤によるPD-L1発現及び、Vγ9Vδ2T細胞の抑制作用を評価している。 さらに、薬剤排出トランスポーターの阻害剤を用いて、薬剤耐性細胞株の抗癌剤によるPD-L1発現の変化が薬剤の排出によって生じているか否かを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養口腔癌細胞株におけるPD-L1発現制御に基づいて、Vγ9Vδ2T細胞の活性化に変化の生じることを確認した。また、抗癌剤耐性口腔癌細胞株の種類を増やしており、これらの細胞のPD-L1発現制御が親株と異なることを確認した。抗癌剤によるPD-L1発現制御が抗癌剤耐性癌細胞では減少する傾向にあることを確認した。このメカニズムの一つとして薬剤排出トランスポーターであるABCB1の発現上昇が重要であることを示すデータを得た。
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今後の研究の推進方策 |
PD-L1発現を上昇させる抗癌剤の中にABCB1などの薬剤排出トランスポーターによって排出されるものを用いることで、薬剤耐性癌細胞のPD-L1発現を抑制し、Vγ9Vδ2T細胞による腫瘍免疫作用を促進できるか否かを検討する。具体的には現在検討しているPD-L1の発現に影響を及ぼす抗癌剤を薬剤耐性口腔癌細胞に作用させ、PD-L1の発現をウエスタンブロット法またはFACSにて検討する。さらに薬剤排出トランスポーターの阻害剤を用いて、PD-L1の発現に及ぼす影響を検討する。薬剤耐性癌細胞がPD-L1の発現を低下させることによってVγ9Vδ2T細胞による細胞傷害活性が上昇するか否かを検討する。
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