研究課題/領域番号 |
22K10327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
楠本 豊 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (40252689)
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研究分担者 |
戸村 道夫 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (30314321)
安達 貴弘 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, ジョイントリサーチ部門准教授 (50222625)
片岡 宏介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50283792)
橋本 茉由子 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (60943628)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | I型アレルギー反応 / 皮膚感作 / 長期生存型IgE産生細胞 / 舌下免疫療法 / 制御性T細胞 / IgE陽性B細胞 / 制御性T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
I型アレルギー疾患における舌下免疫療法のように、口腔粘膜には免疫応答を制御する機構が備わっている。全身性に発症するI型アレルギー反応を舌下免疫療法がどの様にして寛解させるのか、そのメカニズムは十分に判っていない。本研究はI型アレルギー疾患に関与する免疫担当細胞の生体内の分布と動き、さらには細胞間相互作用、また、関与する分子をマウスモデルを用いて検討し、舌下免疫療法のメカニズムの解明を目的としている。この結果は、口腔粘膜における免疫調節のメカニズムの詳細を知り、さらには、より効果的なI型アレルギー疾患の予防、治療法の開発につながると考えている。
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研究実績の概要 |
I型アレルギーモデルマウスの樹立:前年度IgEレポーターマウス(IgE-Venusマウス)を導入し、骨髄でIgE形質細胞の存在を確認していた。アレルゲンとして卵白アルブミン(OVA)を15週間経皮感作し、その後、約半年非感作としたIgE-Venusマウス骨髄でIgE産生細胞を検出した。このIgE産生細胞は長期生存型形質細胞と判断できた。このマウスの血液中にOVA特異的IgE抗体が存在し、この中に、OVAに対する高アフィニティーIgE抗体が含まれていることがpassive cutaneous anaphylaxis反応により示唆された。この結果は、ヒトのI型アレルギー疾患の病態をmimicできるマウスモデルと判断している。 舌下粘膜に存在するクラスターの制御性T細胞(Treg)の性状:舌下粘膜の免疫細胞クラスターはTregを多く含むクラスターであるが、そのTregのほとんどは組織常在性記憶細胞を含むエフェクター/メモリー型の細胞であることが判明した。このことは、舌下粘膜のクラスターでは感作Tregの記憶細胞が維持、活性化調整されていることを強く示唆していると考えられた。 顎下リンパ節、舌下粘膜からの骨髄へのTregの移動:予備実験の段階ではあるが、KikGRマウスにおいて舌下粘膜の所属リンパ節である顎下リンパ節に光照射し、24時間後、KikGR-redに変換した制御性T細胞が骨髄で検出された。このTregはCXCR4の発現が高かった。このことより、骨髄にはCXCR4選択的に顎下リンパ節からTregが移動する事が考えられた。 これらは、本科研課題で当初提唱した仮説をサポートする知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の実施状況報告書に記載したとおり、当初、骨髄においてIgE産生細胞を検出系を確立したと考えたが、マスト細胞などを含むことが判明し、特異抗体染色によるフローサイトメトリーでは、目的の細胞のみの検出は困難であると判断した。このため、IgEレポーターマウス(IgE-Venusマウス)を導入し、あらためてアレルゲン投与マウスでの各臓器におけるIgE産生細胞の検出を試みた。このため、全体的にやや遅れて進行している。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には科研申請時に記載したとおりに研究を進めていく。主として、次の項目が今年度の予定となる。これらの結果から、当初提唱した仮説の真偽、さらにはI型アレルギー反応や舌下免疫療法のメカニズムを探っていく。 1.舌下粘膜、顎下リンパ節に存在するTregの骨髄への移動:既に顎下リンパ節からの移動はほぼ確認が取れている。アレルゲン投与した舌下粘膜からの移動において検討を進める。 2.舌下免疫療法を模倣した抗原投与による骨髄の長期生存型IgE産生細胞や血中高アフィニティーIgE抗体へ及ぼす影響:経皮感作で長期生存型IgE産生細胞や血中高アフィニティーIgE抗体が誘導されたマウスにアレルゲンの継続的な舌下投与を施し、これらの細胞や抗体に対する影響を検討する。 3.骨髄ニッチでの免疫組織切片の観察:骨髄組織内での長期生存型IgE産生細胞と舌下粘膜、顎下リンパ節から移動してきたTregの局在、血管やストローマ細胞との関わりを組織切片で検討する。 4.骨髄から単離した長期生存型IgE産生細胞とTregの単細胞遺伝子発現解析:骨髄から、舌下粘膜もしくは顎下リンパ節から移動してきたTregをKikGR-red陽性human CD2陽性を指標に(TregのマーカーであるFoxp3陽性の細胞がhuman CD2を発現するよう遺伝子改変されている)また、Venus陽性を指標にIgE産生細胞の分取し、単細胞遺伝子解析を行ことで、これら細胞の機能を検証する。
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