研究課題/領域番号 |
22K10333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
箕輪 和行 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (30209845)
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研究分担者 |
亀田 浩之 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (70829887)
長谷部 晃 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90281815)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 歯周病菌 / 造影剤 / 体内動態 / トレース |
研究開始時の研究の概要 |
一般成人においても動脈硬化を起こした心臓冠動脈、心臓内膜、脳血管壁から歯周病の原因菌が検出され、特に中高齢者の心筋梗塞、脳梗塞の原因の一部に歯周病細菌がなっていることが近年、報告されています。また、一方でアルツハイマー型認知症においても歯周病菌の関与が最近になり疑われてきております。しかしながら、口腔内細菌がどのような経路(経消化管、経動・静脈)で動脈内に入り込むのかは不明で、また、血管内に入り込む時期・時間も不明な状態です。 今回、歯周病菌に対してMRI用の造影剤で標識し、ラットに標識した歯周病菌を投与し脳への歯周病菌の蓄積をMRIで観察し歯周病菌の影響を調べることを目的にしました。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、in vitroで使用する細菌の種類、造影剤の種類や濃度、細菌への造影剤標識方法、MRI撮像用のサンプル作製方法、MRIの撮像方法を検討した。 使用する細菌の種類としてはPorphyromonas gingivalis(ATCC 33277)、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(ATCC 29522)、Streptcoccs mitis(ATCC 9811)を使用した。造影剤の種類および濃度の検討ではGd系としてプリモビスト、マグネビスト、Mn系としてボースデル、Fe系としてリゾビストを使用し、各造影剤を7.7μmol/L、0.77μmol/L、0.077μmol/L、0.0077μmol/Lの濃度で各細菌に使用した。また、細菌への造影剤標識方法の検討では上記の造影剤の条件下で、造影剤と液体培地の混合液での培養、あるいは、ヒートショックを行った。処理後の各サンプルの菌体はホルマリンにて失活・固定した後、複数回洗浄を行い、加温したアガロース溶液で可及的速やかに均一に懸濁した後、プラスチックサンプル管内で硬化させた。各固形サンプルを配列し、その周囲をさらに寒天で充填させ、MRI撮像用のサンプルとした。作製したサンプルを研究用3T-MRI装置で撮像した。撮像シークエンスは、T2 map、T2*map、マルチエコー3D-T1強調像を用いた。Matlab上で、定量的磁化率マッピング画像(QSM画像)を計算し、各条件において定量値に有意な変化があるかどうかを検討した。 以上の結果より、使用する細菌としてはPorphyromonas gingivalis(ATCC 33277)およびStreptcoccs mitis(ATCC 9811)が妥当であり、使用する造影剤としてはFe系であるリゾビストが妥当であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はMRI造影剤による歯周病菌への効率的な標識を行う方法を確立するため、in vitroで使用する細菌の種類、造影剤の種類や濃度、細菌への造影剤標識方法、MRI撮像用のサンプル作製方法、MRIの撮像方法を検討した。 その結果、概ね菌の選択、造影剤の種類や標識法などが確立できた。しかしながら、詳細な部分を詰めなくてはならず、下記の今後の方針にその点を記載する。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果からは、使用した造影剤が菌体内なのか、壁内なのか、どの部位に分布しているか定かではなく、また、標識の安定性にも懸念がある。今回造影剤の導入方法として用いた液体培地での共培養およびヒートショックのいずれも効率的かつ選択的標識とは考えにくく、エレクトロポレーションや、近年報告のある核酸アプタマーを使用した菌体特異的な標識方法の検討も必要があると考えられた。造影剤の濃度についても、7.7μmol/L以上の濃度も検討する必要があると考えられた。 造影剤の濃度について更に検討するため、扱いの容易なEscherichia coli(K12)に対しリゾビストを50μmol/L、25μmol/L、10μmol/L、5μmol/L、2.5μmol/L、1μmol/L、0.5μmol/L、0.1μmol/Lの濃度で使用してヒートショックを行ったが、いずれの濃度でも有意な信号変化は認めなかった。しかし、Porphyromonas gingivalis(ATCC 33277)およびStreptcoccs mitis(ATCC 9811)とEscherichia coli(K12)では菌体外の構造が異なっていることから、Porphyromonas gingivalis(ATCC 33277)およびStreptcoccs mitis(ATCC 9811)に対しても同様の実験を行う必要があると考えられた。
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