研究課題/領域番号 |
22K10342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
萩田 浩子 徳島大学, 技術支援部蔵本技術部門, 技術専門職員 (30512123)
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研究分担者 |
山村 佳子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581406)
工藤 保誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50314753)
吉田 賀弥 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (60363157)
毛利 安宏 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (80464353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Fusobacterium nucleatum / 口腔癌 |
研究開始時の研究の概要 |
Fusobacterium nucleatum(F. n)は口腔に常在するグラム陰性嫌気性菌で、プラークの形成に起因し歯周病を引き起こすkey bacteriaである。F. nが大腸癌の発生・進展に関与することが報告されているが、口腔癌との関わりは未だ明らかにされていない。申請者らは、F. nが上皮系性質から部分的に間葉系性質に転換するpartial-EMTを誘導することにより、浸潤能を亢進させることを明らかにしている。そこで、本研究では、口腔癌症例におけるF. n感染と臨床病態との相関およびF. nによる口腔癌細胞のpartial-EMT誘導の分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
Fusobacterium nucleatum(F. n)は口腔に常在するグラム陰性嫌気性菌で、プラークの形成に起因し歯周病を引き起こすkey bacteriaである。F. nが大腸癌の発生・進展に関与することが報告されているが、口腔癌との関わりは未だ明らかにされていない。研究代表者らは、F. nが上皮系性質から部分的に間葉系性質に転換するpartial-EMTを誘導することにより、浸潤能を亢進させることを明らかにしている。そこで、本研究では、口腔癌症例におけるF. n感染と臨床病態との相関およびF. nによる口腔癌細胞のpartial-EMT誘導の分子機構を明らかにする。 本年度は、まず、口腔癌患者からのF. n分離培養方法を確立し、3症例からF. nを分離培養した。その結果、2症例の患者の口腔癌組織からF. nを分離することができた。興味深いことに、正常舌組織からは検出されず、癌組織のみから分離できた。さらに、腫瘍深部からF.nが採取することができた。1症例からは、正常舌組織および癌組織からF. nは検出されなかった。 また、がん組織のmicroRNAシークエンスデータ(miRNA-seq)中には細菌由来16S ribosomal DNA(rDNA) 配列が混入しており、この16S rDNA配列を解析することにより各癌組織中の細菌叢を明らかにすることが可能である(Biochem Biophys Res Commun 522:776-782, 2020)との報告があることから、TCGAデータベースから取得した口腔癌症例のmiRNA-seqデータ中に含まれる細菌由来16S rDNAの配列解析を行ったが、論文で記載されている方法では、解析ができなかった。そこで、RNAシークエンスデータから、F. nのゲノムのコンタミネーションを調べる方法を行ったところ、F.nのゲノムのコンタミネーションが確認できた、今後は、多症例での解析をすすめて、臨床病態との関連を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、口腔癌患者からのF. n分離培養方法を確立し、3症例からF. nを分離培養することができた。さらに、RNAシークエンスデータから、F. nのゲノムのコンタミネーションを調べる方法により、多症例でのF. nの感染と遺伝子発現および臨床病態との関連を解析できる方法を確立した。以上より、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、口腔癌患者からのF. n分離培養方法を確立し、3症例からF. nを分離培養することができたことから、次年度以降も症例数を増やし、F. n分離と臨床病態との関連を解析する予定である。さらに、RNAシークエンスデータから、F. nのゲノムのコンタミネーションを調べる方法により、多症例でのF. nの感染と遺伝子発現および臨床病態との関連を解析できる方法を確立したことから、口腔癌症例におけるF. nの感染状況を調べ、F. nの感染と生存期間や転移を含めた臨床情報との関連を多症例で詳細に解析するとともに、遺伝子発現プロファイルを検索し、F. nの感染により誘導される遺伝子群や経路を同定する予定である。また、分離培養したF. nやin silico解析情報をもとに、F. n感染とpartial-EMTに関わる遺伝子との相関を検討する予定である。さらに、pathway解析・ネットワーク分析を行い、partial-EMT誘導に関わるシグナル経路を同定する。
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