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免疫系に働きかけるラクトフェリン機能発現の解明と高齢者ウイルス感染制御への展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K10344
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57080:社会系歯学関連
研究機関奥羽大学

研究代表者

廣瀬 公治  奥羽大学, 歯学部, 教授 (10218836)

研究分担者 小林 美智代  奥羽大学, 歯学部, 講師 (80316265)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードラクトフェリン / poly(I:C) / インターフェロンλ / SARS-CoV-2
研究開始時の研究の概要

現在全世界で公衆衛生上の重要な問題となっているSARS-CoV-2は飛沫を通して感染するため、効果的な口腔内感染の予防法が求められている。しかし、高齢者は抗体価の維持が難しく、感染により重症化するリスクが高いことから、ワクチンによる感染抑制の十分性について懸念されている。これに対して、自然免疫受容体の活性化によるウイルス感染予防は、高齢者でも比較的効果が高いと考えられており、注目されている。そこで本研究は、SARS-CoV-2 のスパイクタンパク質を持つ偽型ウイルスに対する抗ウイルス効果を解析し、poly(I:C)とLFが舌や口腔粘膜で抗ウイルス反応を誘導するか検討する。

研究実績の概要

ウイルス感染における粘膜免疫におけるラクトフェリン(LF)の役割を明らかにするために、ヒト小腸上皮様の細胞株であるCaco2を用いて研究を行った。 ウシラクトフェリンを添加後、ウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA である Polyinosinic-polycytidylic acid (Poly I:C)を添加して自然免疫応答メカニズムの解析を行った。 以下の結果を得た。
1) LFとpolyI:Cの添加において、LFが濃度依存的にインターフェロン(IFN)λ、IFNα、IFNβの産生を増強することを明らかにした。特に粘膜免疫において重要な役割を果たすIFNλの産生誘導が顕著であった。Poly I:Cの添加を行わず、LFのみ添加した群においては、これらIFNsの誘導は認められなかった。
2) インターフェロンの刺激によって転写誘導されウイルス感染防御に働く分子であるインターフェロン誘導遺伝子の発現動態を検討した。その結果、インターフェロン誘導膜貫通蛋白質(IFITMs)1/3、MX1、 ISG15の遺伝子発現が、LFとPoly I:Cの添加により有意に誘導された。Poly I:Cの添加を行わず、LFのみ添加した群においては、これらの遺伝子の発現誘導は認められなかった。
これらの結果から、ラクトフェリンは小腸におけるウイルス感染時にIFNλを中心としたいくつかのIFNsおよびインターフェロン誘導遺伝子の発現を活性化させ、ウイルス感染防御を促す可能性が示唆された。
3) Poly I:C にて活性化したCaCo-2細胞株にLFを作用させ、SARS-CoV-2疑似ウイルスの感染を抑制するか否かを調べた。その結果、Poly I:Cの活性化とLFの添加、はPoly I:C単独よりも有意に、SARS-CoV-2疑似ウイルスの感染を抑制することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒト口腔内を由来とするにおけるウイルス高感受性細胞の探索について進展が遅れている。SARS-CoV-2の感染に必要な受容体であるACE2とTMPRSS2を十分量発現する、口腔を由来とする細胞株を見つけることができていないため。

今後の研究の推進方策

①口腔内におけるウイルス高感受性細胞の探索は、遅れている。ヒト口腔粘膜由来初代培養上皮細胞 (HGK) 、歯肉線維芽細胞 (HGF)、歯根膜線維芽細胞 (HPLF)などは、SARS-CoV-2の感染に必要十分なACE2とTMPRSS2の出現が認められないことが原因と考えられる。よって、in vitroで気道上皮の生理的環境を再現することができる気液界面培養による、A549を利用したIn Vitro気道上皮培養モデルの作成と、疑似ウイルスの感染系の確立を試みる。
②高齢マウスに対するpoly(I:C)とラクトフェリンの効果を検証: 若齢(6-7週)および高齢マウス(12-24か月)にpoly(I:C)を鼻腔内に投与後、LFを投与し、口腔内組織(舌, 歯肉、舌下腺、顎下腺)などにおける抗ウイルス反応(IFNs, ISGs)、炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, TNF-α)、抗ウイルス作用のある抗菌ペプチド(LF, α/βディフェンシン, LL-37)の発現を調べる。そのことにより、若齢と高齢マウスによる免疫応答の時間的変化や発現因子の違いを解析する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Bovine lactoferrin suppresses the cathepsin-dependent pathway of SARS-CoV-2 entry in?vitro2024

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi-Sakamoto Michiyo、Maeda Toyonobu、Yusa Junko、Shimada Takahisa、Tani Hideki、Kato Yasumasa、Hirose Kimiharu
    • 雑誌名

      International Dairy Journal

      巻: 148 ページ: 105805-105805

    • DOI

      10.1016/j.idairyj.2023.105805

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lactoferrin as a Possible Preventive and Therapeutic Agent Against SARS-CoV-2 Infection2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi-Sakamoto M, Maeda T, Yusa J, Tani H, Kato Y, Hirose K
    • 雑誌名

      Journal of Disaster Research

      巻: 18 号: 1 ページ: 27-33

    • DOI

      10.20965/jdr.2023.p0027

    • ISSN
      1881-2473, 1883-8030
    • 年月日
      2023-01-20
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bovine lactoferrin increases the poly(I:C)-induced antiviral response in vitro2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi-Sakamoto M, Maeda T, Kimura M, Yusa J, Ito H, Tani H, Kato Y, Hirose K
    • 雑誌名

      Biochemistry and Cell Biology

      巻: 100 号: 4 ページ: 338-348

    • DOI

      10.1139/bcb-2021-0342

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 小腸様細胞株Caco-2におけるウシラクトフェリンの抗ウイルス作用解析2023

    • 著者名/発表者名
      小林美智代、廣瀬公治
    • 学会等名
      第72回日本口腔衛生学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラクトフェリンによるSARS-CoV-2疑似ウイルス感染抑制の検討2023

    • 著者名/発表者名
      小林美智代, 前田豊信, 遊佐淳子, 加藤靖正, 廣瀬公治
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラクトフェリンのSARS-CoV-2疑似ウイルス感染抑制は宿主細胞のTMPRSS2発現に依存する2023

    • 著者名/発表者名
      小林美智代、前田豊信、遊佐淳子、谷英樹、加藤靖正、広瀬公治
    • 学会等名
      第12回東北口腔衛生学会・総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラクトフェリンのヒト小腸様細胞株Caco-2に対する抗ウイルス作用の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林美智代 , 前田豊信 , 谷 英樹 , 加藤靖正 , 廣瀬公治
    • 学会等名
      第11回東北口腔衛生学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] In vitroにおけるラクトフェリン 抗ウイルス作用の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林美智代 , 前田豊信 , 遊佐淳子 , 加藤靖正 , 廣瀬公治
    • 学会等名
      第71回奥羽大学歯学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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