研究課題/領域番号 |
22K10355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 神奈川歯科大学短期大学部 |
研究代表者 |
山本 裕子 神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60756568)
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研究分担者 |
槻木 恵一 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00298233)
両角 俊哉 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20444151)
高橋 徹 産業医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80324292)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 唾液 / IgA / 糖尿病 / 短鎖脂肪酸 / 唾液腺 / 空腹時血糖 / Immunoglobulin A / BAFF |
研究開始時の研究の概要 |
上気道感染症に起因する肺炎は糖尿病患者を死に至らせる深刻な合併症であり、予防対策が急務である。肺炎につながる上気道感染症予防には唾液中のImmunoglobulin A(IgA)が重要な役割を果たしているが、上気道感染症に罹患しやすい糖尿病患者の唾液中IgAレベルが低下しているかは不明である。本研究では糖尿病が唾液中IgAレベルと唾液腺の変化および大腸のSCFAs産生量に与える影響をモデル動物で検討し、大腸のSCFAsが遠隔臓器である唾液腺でIgAを増加させる分子メカニズム解明を目的とする。将来的には食の改善と唾液の質向上による糖尿病患者の新しい肺炎予防法を、歯科から提案することを目指す。
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研究実績の概要 |
糖尿病患者は上気道感染症に罹患しやすいことはよく知られているが、上気道感染症予防に重要な役割を果たす唾液中IgAレベルが低下しているかどうかは明らかになっていない。昨年度の我々の実験で、糖尿病モデルラットの唾液中IgA分泌速度は低下していることが判明した。 今年度は「研究計画2:糖尿病で低下した唾液中IgAレベルに大腸のSCFAs(短鎖脂肪酸)が与える影響」の実験を行った。糖尿病を発症するSDT fattyラット(6週令)とそのコントロールであるSDラット(6週令)に無繊維飼料と無繊維飼料にフラクトオリゴ糖(FOS)3%を添加した飼料を摂取させた。肥満の影響を排除し糖尿病の影響だけを見たかったため、糖尿病ラットとコントロールラットの体重差が出ない8週間を試験期間とした。唾液中IgA分泌速度には糖尿病の有無とエサの違いの影響が認められ、糖尿病発症により低値となった唾液中IgA分泌速度は、FOS摂取により高値となった。盲腸内容物中のSCFAs濃度を測定したところ、酪酸濃度において糖尿病の有無とエサの違いの影響が認められ、糖尿病発症により低値となった唾液中IgA分泌速度は、FOS摂取により高値となった。これは唾液中IgA分泌速度と同じ傾向であったため、糖尿病が盲腸のSCFAs濃度を介して唾液中IgA分泌速度に影響を与えている可能性が明らかとなった。今後は糖尿病の有無とFOS摂取が顎下腺のサイトカイン発現やSCFAs受容体発現に与える影響を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた「研究計画2:糖尿病で低下した唾液中IgAレベルに大腸のSCFAs(短鎖脂肪酸)が与える影響」の実験内容をほぼ実施することができたため。SCFAsレセプターをリアルタイムPCRで測定するためのプライマー設計は終了し、次の実験の準備は整っている。また、血清中サイトカインの測定も進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は糖尿病モデルラットの顎下腺における短鎖脂肪酸レセプターの発現レベルやサイトカインの発現レベル、血清中のサイトカイン濃度を明らかにする予定である。
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