研究課題/領域番号 |
22K10369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 道哉 東北医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師 (70221083)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / 希死念慮 / 自殺念慮 / TLS(完全閉じ込め状態) / 非運動系症状 / 情動制止困難 / 京都ALS患者嘱託殺人裁判 / 精神的支援対策 / TLS / 非運動症状 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の疾患特性を踏まえ、コロナ禍で希死念慮・自殺念慮を強める要因、生きぬく意欲を強める要因を明らかにし、生きぬくための具体的支援策について提言を行う研究である。ALS患者・介護者と常に連携して遂行し、希死念慮、自殺念慮を抱きながらも、コロナ禍の過酷な状況を生きぬくための具体的な方策を提言することで、世界のALS患者の尊厳の保持と、QOL向上に資することを目的とする。いわゆる情動制止困難症状等の筋萎縮性側索硬化症の症状緩和、非運動系症状へのトータルケアによる進行抑制、社会参加等自己実現によるQOL向上など、生き抜くために当事者が実践可能な支援策について提言する。
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研究実績の概要 |
「疾患特性を踏まえた筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の自殺念慮へ対策に関する研究」は、研究課題の核心をなす学術的「問い」Research Question(RQ)を検証することで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の疾患特性を踏まえ、希死念慮・自殺念慮を強める要因、生きる意欲を強める要因を明らかにし、生き抜くための具体的支援策について提言を行う世界最初の研究である。 RQ1.「ALS患者、介護者は、ALSにかかると、病状が進行するにつれて、いずれは完全な閉じ込め状態(TLS)になると考えている」これを、文献の網羅的検索、ALS患者、および介護者に対する調査から検証した。RQ2.「長期療養ALS患者では、情動制止困難の症状が稀ではない」これを、長期療養ALS患者調査、介護者調査から検証している。RQ3.ALS当事者はこれまで死にたいと思ったことがあるとしばしば発言しているが、自殺念慮を抱くことはけっして稀ではない」これを、ALS患者、および、介護者に対する調査から検証している。ALS患者の自殺念慮が、死にたいと生きたいの間をゆれ続ける特性があることを検証している。京都ALS患者嘱託殺人事件の、裁判員裁判傍聴資料、判決文概要を精査し、自殺幇助を依頼した被害者の状況を疾患特性から分析し、再発防止策を検討する。RQ4.「長期療養者でTLS等コミュニケーション障害を克服しているALS患者では、ハイテクコミュニケーション機器利用よりも、透明文字盤、口文字などのローテクコミュニケーション支援を提供する支援者を育成している場合が多い」これを長期療養ALS患者調査、支援者調査から検証している。RQ5.「長期療養者ALS患者で、TLS等コミュニケーション障害を克服している患者では、ALSの非運動系症状に対する医療・ケアが充実している」を、長期療養ALS患者調査、支援者対面調査等から分析・検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RQ1.「ALS患者、介護者は、ALSにかかると病状が進行するにつれて、いずれは完全な閉じ込め状態(TLS)になると考えている」に関し、網羅的文献検索を実施、2024年4月までの文献に至るまで、ALSの全例がコミュニケーション不能となる記述が日本以外で多数なされていることを明らかにした。RQ2.「長期療養ALS患者では、情動制止困難の症状が稀ではない」について、ALS当事者と対面による検討を重ね、ALS当事者からの紹介を受けた調査協力者(ALS患者・介護者)を選定、聞き取り調査を実施、結果を分析している。RQ3.ALS当事者はこれまで死にたいと思ったことがあるとしばしば発言しているが、自殺念慮を抱くことは稀ではないこと、死にたいと生きたいの間をゆれる特性があることを、ALS患者、および介護者に対する対面聞き取り調査から検証している。海外の自殺念慮調査票を精査し、わが国のALS患者の特性を評価するには不適切であることが判明した。京都ALS患者嘱託殺人事件の、裁判員裁判傍聴資料、判決文を精査し、自殺幇助を依頼した被害者の状況を疾患特性から分析し、再発防止策を検討している。さらに、京都地裁が2024年3月5日判決文要旨で例示した、嘱託殺人違法性阻却要件について精査・分析している。RQ4.「長期療養者でTLS等コミュニケーション障害を克服しているALS患者では、ハイテクコミュニケーション機器利用よりも、透明文字盤、口文字などのローテクコミュニケーション支援を提供する支援者を育成している場合が多い」を長期療養ALS患者およびコミュニケーション支援者に対する対面調査から検証している。RQ5.「長期療養者ALS患者で、TLS等コミュニケーション障害を克服している患者では、ALSの非運動系症状に対する医療・ケアが充実している」を、長期療養ALS患者、支援者に対する対面調査から分析している。
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今後の研究の推進方策 |
RQ1.「ALS患者、介護者は、ALSにかかると、病状が進行するにつれて、いずれは完全な閉じ込め状態(TLS)になると考えている」に関し、2024年4月までの内外諸文献を網羅的に精査、ALSの全例がコミュニケーション不能となる記述が日本以外で多数なされていることを明らかにした。例外なく必ず閉じ込めになるという誤った文献により、医療者から誤った説明がなされることで、いわば、医の呪い効果(medical hexing)を生じ、閉じ込めになるくらいなら、死んだほうがましと考え、積極的闘病をあきらめるALS患者がいる可能性を検証し、対策を提言する。また、京都ALS患者嘱託殺人事件の裁判員裁判判決文、傍聴記録等を精査し、薬物による幇助死を望み殺害されたALS患者の、疾患特異的な自殺念慮、TLSを恐れての幇助死の願望等について、被害者をよく知る京都のALS患者・支援者、京都大学研究者等と連携して詳しく分析する。RQ2.「長期療養ALS患者では、情動制止困難の症状が稀ではない」について、在宅ALS症例、TS病院症例を整理し、ALS当事者と対面による検討を重ね、ALS当事者からの紹介を受けた調査協力者(ALS患者・介護者)を選定、総合的な聞き取り調査を継続する。聞き取りの際に、主観的QOL評価も併用して、ALS当事者と介護者との関係が、ALS当事者の主観的QOLに与える要因について考察する。RQ4.「長期療養者でTLS等コミュニケーション障害を克服しているALS患者では、ハイテクコミュニケーション機器利用よりも、透明文字盤、口文字などのローテクコミュニケーション支援を提供する支援者を育成している場合が多い」を長期療養ALS患者およびコミュニケーション支援者に対する調査から検証する。RQ5.「ALSの非運動系症状に対する医療・ケア」を、長期療養ALS患者、支援者に対する対面調査から分析する。
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