研究課題/領域番号 |
22K10376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
海老原 諭 和光大学, 経済経営学部, 教授 (00386707)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 医療法人 / 関係事業者との取引の状況に関する報告書 / 非営利性 / 事業報告書等 / 特定医療法人 / 経過措置型医療法人 / 留保金課税 / 実質的な配当 / メディカル・サービス法人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、都道府県が医療法人の経営状況、とりわけ、医療法人が関係当事者との間で行う取引の実態について、各医療法人が届け出る事業報告書等の情報をもとに把握することを容易にするようなツールを開発することにある。2022年度に、医療法人の監督・指導を行う都道府県に対してアンケート調査を行い、都道府県側のニーズを把握してから、その結果に、他の非営利法人に係る会計規制の動向、医療法人の事業報告書等における情報開示の実態を加味してツールの作成を進めていく。研究の成果は、学会発表、論文、自身のウェブサイトを利用して行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、(1)「関係事業者との取引の状況に関する報告書」の作成・届出の現状に関する調査、および、(2)都道府県における「関係事業者との取引の状況に関する報告書」の閲覧請求対応に関する調査を行った。 (1)については、「関係事業者との取引の状況に関する報告書」における情報開示が年々減少傾向にあることが明らかになった。「関係事業者との取引の状況に関する報告書」の作成は、医療法人が関係事業者との間で行う取引について自ら説明させることで、不適切な取引(事実上の配当が疑われる取引)を抑制させることを目的としたものである。現行の制度では、関係事業者とされる者の範囲が明確に決められているため、医療法人側が意識的に「開示外し」を行うことが可能であり、不適切な取引がより複雑化・巧妙化している可能性があることが示唆される。 (2)については、各都道府県の間で「関係事業者との取引の状況に関する報告書」の閲覧方法、個人情報開示に関する考え方の違いがあることが確認された。この報告書を含む事業報告書等の閲覧は、医療法人の経営に対して公衆の監視を働かせることを目的としており、情報の一部がマスキングされたり、そもそも閲覧対象から除外されたりということがあると、元々の制度趣旨が損なわれてしまう。しかし、約3分の1の都道府県で閲覧できる情報の全部または一部が閲覧できないようにされている状況があった。 これらの調査の結果は、それぞれ論文にまとめて発表している(「医療法人における対関係事業者取引の事業報告書を通じた実態把握の限界」「インターネットを利用した医療法人の事業報告書等の閲覧に係る各都道府県の方針の違いに関する実態調査」)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は3年間の研究期間の2年目であるが、最終的な医療法人の非営利性について評価するためのモデル作成に必要なデータの収集を行うことができた(未発表の論文に収録したものを含む)。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は研究機関の最終年度となるため、これまでに収集されたデータをもとに、都道府県の医療法人担当部局が医療法人の非営利性について評価するために利用できるツールの作成に取り組む。これまでの調査において、医療法人の非営利性については、客観的な基準がなく、都道府県がそれぞれ独自の判断によって判定していること(法令上、非営利性の確保にそこまでの力点が置かれていないこと)が明らかになっているため、医療法人の非営利性に関する評価について、都道府県間の情報共有を促進できるような「標準」を示すことがこのツールの核になると考えている。作成したツールについては、厚生労働省や都道府県にレビューを受け、学会発表を行ったうえで論文の形にまとめる予定である。
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