研究課題/領域番号 |
22K10388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
大前 憲史 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60645430)
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研究分担者 |
片岡 裕貴 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10814379)
マスワナ 紗矢子 東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 准教授 (60608933)
荒牧 英治 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70401073)
金丸 敏幸 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (70435791)
水本 篤 関西大学, 外国語学部, 教授 (80454768)
栗田 宜明 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 特任教授 (80736976)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 査読 / 医学論文 / 自然言語処理 / ランダム化比較試験 / コーパス / Move分析 |
研究開始時の研究の概要 |
まず、公開査読制を採用する医学研究雑誌の査読レポートを集積し、査読に特化した膨大な言語表現データベース(コーパス)を構築する。さらに、コーパスを利用して、医学研究のデザインや方法論的枠組みに着目した疫学的分析と査読特有の構造や評価表現に着目した言語学的分析から、査読者の思考や嗜好を質と量の両面から明確化する。構築したコーパスや明確化した査読者の思考や嗜好は、査読教育用の資材としても活用することを想定する。
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研究実績の概要 |
論文の質を複数人の専門家で評価する査読の仕組みは、医学エビデンス創出の基盤を成す。しかし、日本では、臨床医が忙しい臨床の傍ら研究に従事することも多く、査読を学ぶ機会は劇的に不足する。また、査読そのものも、性質上閉鎖的で、実態が不透明な部分も多く、査読教育を行う上での大きな障壁となってきた。本研究は、実証的エビデンスに基づき現行の査読の実態を明らかにし、効果的な査読教育の開発に繋げることを目的とする。 まず、研究の第一段階として、公開査読制を採用する医学研究雑誌のうち、4大トップジャーナルの1つとしても知られるThe British Medical Journal (BMJ)に絞って、BMJに掲載されたランダム化比較試験(RCT)論文に対する査読レポートを解析することにした。トップジャーナルでは一流の査読者が査読を行うため、質の高い査読レポートの入手が期待できる。また、観察研究と比較して、RCTでは研究の方法論がある程度決められており、査読レポートも構造化しやすいことが想定される。さらに、RCTは医学以外の領域でも広く用いられる研究デザインであり、得られた知見の汎用性も期待できる。 そこで、BMJで出版されたRCT論文のうち、出版時期が最近のものから適当に10本抽出した(うち、2本は最初の査読結果でRejectと判断されたものを含めるようにした)。査読を受ける前の原稿とそれに対する初回の査読レポートをBMJのウェブサイトからPDFファイルで入手し、Pythonを用いて査読者のコメント部分のみ自動的に抽出できるようにした。その上で、2本のRCT論文に対する計10名の査読者コメントを意味的なまとまりに分類し、各パートに意味づけするアノテーションを2名の臨床疫学専門家が独立して作業した。その後、言語学および教育学の専門家も加わって最終的に両者の合意形成がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同一の医学雑誌であっても査読者による査読レポートの形式上の異質性が当初の想定よりもはるかに高かったため、元のPDFファイルから必要なデータを自動的に抽出するためのプログラミングが複雑となった。また、自動的に抽出しても、その後手作業で修正しなければならない部分も少なくなく、人による作業量が想定より大幅に増加し、結果的に研究期間の前半の進捗は当初の予定より時間を要した。しかし、後半は前半に構築したシステムを用いることで作業が効率的に進み、期間全体で見れば概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに解析する査読レポートの数や種類を増やして査読者コメントの意味的・構造的分類(MoveやStep)についての理論的な飽和を目指す。その上で、コーパスに取り込んだデータを利用して、査読の各パートでどのような言語表現が使用されることが多いか、評価表現辞書を用いた言語学的解析を加えていく予定である。
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