研究課題/領域番号 |
22K10390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
高桑 修 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10647332)
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研究分担者 |
柿崎 真沙子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20580872)
松尾 洋一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40381800)
山下 純世 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (90423863)
小林 成美 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (20379415)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 卒前臨床教育 / 多職種連携教育 / 地域基盤型教育 / 医学教育 / 地域医療 / 卒前臨床実習 / 医療者教育 |
研究開始時の研究の概要 |
将来の地域医療を担う人材育成にむけ地域医療機関と医学生とを教育プログラムで結ぶ新しい形の教育システムを構築する。具体的には、デジタル化社会のビジネスモデルも参考にして地域医療機関と全国の医学生を繋ぐ「プラットフォームシステム」を構築する。運営団体が教育プログラム開発やフィードバックを支援することで改善サイクルを回転させるとともに、運営に必要な財政面や人材確保といった課題にも取り組み、他の医療圏でも導入できる持続可能なシステム構築を目指す。
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研究実績の概要 |
医療現場での経験は医学生にとって重要な学びの機会である。コロナ禍は世界の医学教育に大きな影響を与え、本学でも令和2年のラーニングコミュニティーの活動が中断された。再開にあたり、夏休みの実地参加型教育プログラムで地域医療機関と学生を結ぶ教育プラットフォームシステムを開発した。令和3年度に学生自身が運営する形で試験導入(レベル0)し、令和4年度に本格運用した。この研究によるプラットフォームが生み出すサイクルは以下のとおり:①学生のニーズを調査 ②教育理論を備えた教育プログラムを開発。③Web上でプログラムを一元化して学生に発信。オンライン予約でチャットシステムを開発。⑤プログラム実施後に情報を一元化し指導者にフィードバックする。 令和4年度の活動は医薬学部学生によるHUB組織(medicalHUB)により運営した。プログラムに対する評価を指導医と共有することから開始し、協力施設の指導医とTIPsを共有してプログラムを開発した。8施設から24のプログラムが提供され、54名の医療系学生が参加した。参加学生からは現場の医療者のプロフェッショナリズムやコミュニケーションなどに対する気づき、医療者としての将来の夢や自身のキャリアについての期待といった記載がみられた。学生の評価は2021年より向上し,特に評価が高かったプログラムを学生が選択しAwardとして感謝とともに表彰した。活動については医学教育学会で発表しStudent Awardに選出され、その内容は英文で報告した。 加速度的に技術や社会が変化する現代において居郁システムも変わり続ける必要がある。学生自身が情報を一元化する“プラットフォーム”は地域医療機関、指導医、学生にとって有用なシステムになりえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は学生自身が運営する形で試験導入(レベル0)を行い、研究初年にあたる令和4年度はレベル1として、①自主的な学びの活動として、②学生の運営のもと実践すること。③将来の自立的活動にむけ活動資金の調達を含めて運営方法を構築すること、④SNS等で情報を積極的に発信すること、が目標となった。①②については、概要で述べたように概ね目標どおり実践することができた。教育プログラムに参加した学生に対する教育的効果だけでなく、運営する学生の内発的動機付づけを促しラーニングコミュニティーとしての役割を果たしているという発見があった(令和5年医学教育学会発表予定)。③については、運営学生を研究アシスタントとして雇用する形をとったが、作業量が多く学生にとっても負担が大きく、資金的にも維持が難しいことが分かった。一方、④にも関わるが学内外での広報活動により活動への認知が高まった。特に令和4年度の活動では看護部1年生の参加者が多く、医学系学生の基盤となるコンピテンシー教育を目指す方向性が注目され、全学での教育センターの事業として継続していく議論が始まっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はレベル2として『カリキュラム活動への発展』とレベル3『研究活動の発信と持続可能な仕組み』に向けた足場作りが目標となる。 前者については、これまでの活動成果から“医学系学生の基盤となるコンピテンシー教育”としての位置づけを計画している。新たな運営メンバーも看護部学生が多く参加し、医療系学部の学生が協力して自分達の学習を運営するこれまでにない教育体制が生まれつつある。また、運営学生の変化を“自己決定理論のフレーム”に当てはめるとこの活動への参加が内発的動機付けに繋がっており、当初の計画を越えた教育効果を生み出している手ごたえを感じている。本研究の教育プロセスは先の見通せない現代において“自ら考え自ら創造する高等教育”の重要なモデルになる可能性がある。引き続き学生とともに積極的に活動を継続していく。
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