研究課題/領域番号 |
22K10393
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
五十嵐 小優粒 中部学院大学, 留学生別科, 講師 (80827783)
|
研究分担者 |
高山 裕子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (00637803)
斎藤 隆枝 国際医療福祉大学, 総合教育センター, 助教 (20827802)
坂口 美知子 国際医療福祉大学, 総合教育センター, 講師 (50740958)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | Plain language / 平易な言語使用 / 国際的な医療提供 / 日本語 / 英語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の学術的意義は、国際化に対応した医療提供をするために、医療現場においてどのような言語使用が有効かを提言することにある。 もし、日本語を解さない人が患者となった時、医療従事者には日本語のみならず英語やその他の言語使用も求められる。その場合、「やさしい日本語」の発想と同様に、確実に伝わる平易な表現、具体的には、多くの国の人が義務教育で学ぶ英語表現を用いれば、伝わる可能性が格段に上がる。本研究では日本国内の医療従事者を対象として、まずは母語である日本語で「やさしい日本語」の考え方を理解し、それを「やさしい英語」に応用して活用できるよう、マニュアルを作成して研修体系を整える。
|
研究実績の概要 |
1.医療系大学の学生を対象に「Plain Language」を導入し、その効果を調査した。導入前は、将来勤務するであろう医療機関での外国人患者対応やスタッフとの協働に消極的であったが、導入後のアンケートでこれらに対するモチベーションの向上が見られた。それだけでなく、「Plain English」の導入後には学生自身の英語運用能力の自己評価が上がったことから、平易な言語使用を教育現場で扱うことの副次的な効果まで確認できた。 2.伝わりやすい表現の使用を目指す際に、意思伝達の妨げになりやすい「伝わりにくい表現」を同時に提示する必要性について主張した。同じ会話文を聴いた時、日本語の母語話者と非母語話者では伝わりにくいと思う表現に違いがあることを調べ、例えば話し言葉特有の省略表現などの使用を控えるように、という旨の情報共有も「Plain Language」の普及と並行させるべきであると提言した。 3.「やさしい日本語」や「Plain Language」を確実に伝えられるように構築するためには、言語の使い手にある程度の文法知識があったほうがよいという提言を行なっている。ともすれば退屈だと思われがちな国語文法を、日本語母語話者に楽しく分かりやすく伝え、その特徴を踏まえた平易な言語使用ができるよう、取り扱い方の工夫を考えている。これについて、これまで行なったセミナーでは、参加者の方々から「分かりやすく有意義な講演であった」との意見が出ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の代表者および分担者2名が申請当初の所属先を離れたことにより、医療機関における「Plain Language」の普及活動は困難になった。そこで本研究は今年度より大きく方向転換をはかり、大学生を中心とした「Plain English」の導入と並行して、外国籍の方々が生活の中で読み取るべき情報や資格試験の言語に「Plain Language」を用いることを提言する。さらに、より伝わりやすくするために使用を避けるべき表現の提示も積極的に行ない、多くの人に確実に伝わる伝達方法の普及に取り組んでいく。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では現在、特定技能や技能実習で来日している多くの外国人が受験する介護福祉士国家試験の問題を分析している。特に発問文に着目し、そこで使用される独特の表現が外国人の理解を妨げている可能性を指摘したい。 このことは、その他の試験問題や多業種で指示を与える際などにも応用できるもので、広く言語政策の観点から考察することで社会貢献に繋げられると考えている。
|