研究課題/領域番号 |
22K10394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
福島 敬 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30323299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 小児 / 保険診療 / 格差 / 広域診療連携 / 子どもの権利 / 小児がん / 陽子線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では子どもの権利の格差増大が指摘され、養育者や地域社会の都合で子どもの権利や成長の機会を制限されない社会への成熟が求められる。特に、生命を守られ、健康に成長する権利は最も優先されるが、医療の高度化・特殊化にともなう「集約化」は「平等・格差解消」への逆風である。日本の小児3大死亡原因は、先天異常または周産期障害、不慮の事故、および悪性新生物(小児がん)である。日本では前2者と比較すると小児がん専門医療を提供する病院が極端に少なく、遠距離移動が必要な例が多い。本研究では、医療圏や都道府県を越えた受診行動の状況およびその促進因子・制約因子を分析し、格差解消のための方策を検討する。
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研究実績の概要 |
小児の平等な権利を保証する観点から、2016年4月に小児がん陽子線治療が保険収載されたことは促進要因となり、施設間連携の重要性が高まっている。当院の小児がん集学的治療において陽子線を適時に利用することを目的とした診療連携の現状を分析した。【方法】対象は2019年4月から2021年5月の間に当院で治療を開始後に陽子線施設と連携した連続10症例である。陽子線治療施設への連絡方法等、治療日程遅延の有無、有害事象等について分析した。【結果】対象10例は、髄芽腫4、再発上衣腫2、Ewing肉腫2、pineal parenchymal tumor of intermediate differentiation 1、Hodgkinリンパ腫1であった。小児がん拠点病院・連携病院体制に基づく関東甲信越地域内の連携は5例で、他の5例は地域外施設との広域連携であった。すべての症例で日程の遅延なく安全に陽子線治療を利用できた。【結論】広域的視野により陽子線施設との連携を促進し、患児・家族を支援することで、陽子線を利用した小児がん集学的治療の機会均てん化が実現する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した初年度の研究計画は以下のとおりであり、おおむね順調に進展している。 既に構築されているデータベースを利用して、国内の小児がん診療、小児陽子線治療の現状を解析する。小児がんの診療実績が多い施設の研究協力者を通じて、当該施設の院内がん登録データベース等を利用して20歳未満の小児がん症例における放射線治療の件数、他院との診療連携状況、陽子線利用の有無を調査する。同時に、化学療法・手術療法・陽子線治療を実施できる5施設の研究協力者を通じて、小児がん患児における放射線治療実施件数および陽子線治療件数、他院からの紹介状況、陽子線以外を用いた例がある場合にはその理由を調査する。以上から、小児がん診療件数の多い病院および陽子線治療を含む総合的小児がん集学的治療が可能な病院における現状を把握する。
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今後の研究の推進方策 |
第2年目以降、質問項目(案)を列記した質問紙を用いて、対面またはアンケート調査を行う。初年度に得られた所見から、質問項目に必要な修正を加えて使用する。 1. 陽子線治療実施施設を対象:放射線治療実施件数(陽子線を利用しなかった理由)、陽子線治療実施件数、何らかの放射線治療の目的で他院へ紹介した理由と症例数、遠方からの紹介患者を受入れる上で配慮・工夫している事項など。 2. 陽子線治療設備を持たない施設を対象:陽子線治療の目的で他院へ紹介した例数、陽子線以外の放射線治療の目的で他院へ紹介した例数、症例ごとの陽子線適応判断の根拠、陽子線治療の適応と判断したにも関わらず実現しなかった例の理由と件数、陽子線以外を用いた放射線治療の件数、遠方へ紹介するにあたって配慮・工夫している事項など。3. 陽子線治療施設へ一時転院した症例の保護者(親権者)を対象:転院にあたって負担に感じたこと、転院にあたって得られた支援(人的・経済的・設備的、その他)など。
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