研究課題/領域番号 |
22K10399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大星 直樹 近畿大学, 理工学部, 教授 (80294247)
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研究分担者 |
松野 純男 近畿大学, 薬学部, 教授 (30299094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 感染者数データベース / 感染者数可視化 / 感染者予測 / 感染症シミュレーション / 感染症データ / 可視化 / BIツール / 医療リソース / 感染者数予測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2020年初頭より世界中に蔓延している新型コロナウイルス感染症の感染状況と医療リソース配分のための定量的予測手法を導き出そうとするものである。本研究の成果により、患者数や必要病床数の定量的予測が可能になれば、計画的な医療リソース配置を立案することが可能になる。 2020年1月から2022年3月までの日本における感染者、患者データを収集し、このデータを分析後、感染予測モデルを構築する。感染者数推定だけでなく、感染治療のために必要な病床数を求める方法も提案する。感染者数と必要病床数の予測が可能になれば医療従事者の配置計画の指標を得ること可能になり、医療逼迫を避ける一助になると考えられる。
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研究実績の概要 |
主要自治体における感染者数データの収集とデータベースの作成は終了。 研究成果について、電子情報通信学会関西支部第27回学生会研究発表講演会にて、(1)BIツールによるCOVID-19感染者数可視化の試み(菊岡将司、野村奏太、松野純男、大内秀一、和田哲幸、船上仁範、八軒浩子、大星直樹)(2)新規感染拡大時における必要病床数予測の試み(高木謙輔、松野純男、大内秀一、和田哲幸、船上仁範、八軒浩子、大星直樹)の演題で発表した。(1)において、主要都道府県、市町村のCOVID-19の感染陽性者データを、Webスクレイピングにより自動的に収集するスクリプトを作成。学内に専用のサーバを設置し、関係データベース(MySQL)を設けて感染者データを時系列でデータベース化した。BIツールとMySQLを結合することにより、地域ごとに時系列での陽性者数をグラフ化することを可能とした。地図上に移動させたマウスポインタの指定する市区町村のデータが設定されていれば、マウスのクリックによって感染者グラフが表示される機能を付与することによって、ユーザが知りたい地域の感染者情報を視覚的、直感的に把握することが可能になった。 (2)においては、大阪府の感染者情報からCOVID-19感染者のうち、重症化した患者数と在院日数を抽出し、感染者数の推移によって検索時点での必要病床数の定量的予測を行った。すなわち、全陽性者数から(a)重症化する割合を設定、(b)重症化した患者の在院日数を分布関数により推測した。ここでは、新規陽性者数のデータから、重症化率から重症者数を算出した値を元にアーラン分布を用いて加療に必要な病床数を予測した。大阪府内での予測を行った期間(2021年6月21日~9月29日)における必要病床数は最大で119床であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
感染者数予測に必要な感染者データの収集は終了し、データベースの基本システムは完成しているが、他のシステムと混在しているので運用しにくい面があり、専用機へのシステム移植とデータ移行の必要がある。感染者予測シミュレーションのための数理モデルは、多くの種類があり、個々の精度比較の必要がある。数理モデルには、SIRモデル、カルマンフィルタ、粒子フィルタ、パーコレーションモデル、教師有り機械学習モデルを用いたもの等があり、それぞれの計算方法の有用性と定量精度の比較の必要がある。この煩雑な比較計算作業を実行するためのマンパワーを欠いているため遅れを来している。大学院生、学部生らに作業アルバイトを依頼し、研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次の3つの作業を進める予定である、すなわち、(1)感染症陽性者数データベースサーバの作成、データベース設置とユーザインタフェースの作成、(2)各自治体毎の重症化割合の算出方法と重症者の回復に要する日数の予測式の設定、(3)今次の日本国内の主要都市、都道府県におけるCOVID-19感染の拡大状況データをもとにした拡大予測、シミュレーションの精度の定量的評価、とくに感染拡大時の逐次的必要病床数予測を検証することである。(1)について、既存のシステムは、専用のサーバではないので、今回の研究目的(感染に関する拡大と必要医療リソースの定量的予測)に限ったサーバ(オープンソースのOS、データベースソフト、インタフェースの作成)を作成することとする。(2)については、感染者の重症者割合データ、在院日数のデータすべてが公開されているわけではないので、それらのデータの蓋然性を担保できる推測方式(混合ガウス分布等に依る推論)を検討し、この計算式により、(3)とあわせてパンデミック進行時において求められる医療リソースの定量的評価方式を提案する。定量的評価を終えたのち、研究発表、論文作成、投稿作業に移る予定である。
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