研究課題/領域番号 |
22K10425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
阿部 百合子 日本大学, 医学部, 准教授 (70750660)
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研究分担者 |
大谷 尚子 日本大学, 芸術学部, 教授 (50584778)
奥田 貴久 日本大学, 医学部, 教授 (20620305)
糸井 充穂 東京都市大学, 理工学部, 教授 (40422448)
横瀬 宏美 日本大学, 医学部, 助教 (40465274)
鈴木 沙季 日本大学, 医学部, 助手 (10896129)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | PBL / 模擬患者 / マルチメディア / 臨床推論 / 医学教育 |
研究開始時の研究の概要 |
模擬患者は医学教育に必須であるが、これまで人数に限りがある等の課題があった。また、コロナ禍以降はオンラインによるPBLが試みられているが、その教育効果は未だ定量されていない。本研究は、「患者に近い」かつ「導入が簡単で継続できる」マルチメディア模擬患者の開発を行う。加えて、マルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLを確立し、その教育効果を、臨床推論力および孤独/一体感などの精神評価の両面から可視化を行う。
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研究実績の概要 |
模擬患者は、医学教育において、医学生が医療面接などを学修する際に患者役を演じてくれる協力者である。患者とコミュニケーションがとれる医師を育成するためには、模擬患者は欠かせない存在となっている。一方、これまでの教育の場においては、模擬患者は教育機関に実際に出向いて患者役を演じることが多かった。このため、模擬患者の人数や日程などに限りがあり、教育の機会が限られる等の課題もあった。 本研究は、医学教育の現場で今後必要不可欠となるであろう「患者に近い」かつ「導入が簡単で継続できる」マルチメディア模擬患者を開発し、その教育効果を明らかにする。 前年度は、日本大学医学部と芸術学部が共同で映像医療面接を開発し、そこからマルチメディア模擬患者を開発した。今年度は、医学生を対象に、開発したマルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLを確立し、その教育効果を可視化することを目指した。PBLは問題解決能力を育む教育であり、対面が難しかったコロナ禍では、オンラインによるPBLも新たに試みられるようになってきた。一方、オンラインPBLは感染リスクのない能動的学習であるものの、その教育効果は定量されていないという課題もあった。今年度は、新たに開発したマルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLを行い、その教育効果を多方面から解析した。その結果、医学生とテューターである教員の双方ともに、技術上の大きな問題はないことを確認した。マルチメディア模擬患者を用いた教育効果について、従来の紙面のシナリオとの比較から検証したところ、マルチメディア模擬患者を用いた場合は、医学生が患者像や異常所見をイメージしやすく、学生自ら調べる内容が多くなり、よりアクティブラーニングに繋がることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医学部と芸術学部が協力して、マルチメディア模擬患者の開発を行うことができている。映像医療面接は、専門医が専門分野の症例シナリオを作成し、患者役は演技のトレーニングを受けた役者が担当して疾患に合わせて特殊なメイクを行い、病院内で撮影を行った。映像医療面接に血液検査所見、画像所見などの患者情報をインターネット上で組み合わせて、マルチメディア模擬患者とした。マルチメディア模擬患者の開発は、当初は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開発が遅れた。現在は、その遅れを取り戻しつつある状況である。 マルチメディア模擬患者を用いて、医学生とテューターがオンラインで参加するPBLを行い、その教育効果を明らかにした。マルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLは、教員、医学生ともに技術的に問題なく行うことができることが明らかとなった。更に、マルチメディア模擬患者を導入する前と後とで、その教育効果を検証することを目指した。具体的には、従来の紙面のシナリオを用いたPBLとマルチメディア模擬患者を用いたPBLを比較した。マルチメディア模擬患者を用いることにより、オンライン参加型PBLがアクティブラーニングに繋がり、教育効果が高くなることが明らかとなった。その結果について、学会報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今回明らかにした結果から、マルチメディア模擬患者の教育効果は、疾患による違いがあることが明らかとなった。疾患に特徴的な症状の有無は映像シナリオの有効性に影響していることが考えられた。また、特徴的な検査所見もマルチメディア模擬患者の教育効果に影響している可能性があった。今後は、疾患の特徴や診察所見・検査所見等のマルチメディア化との組み合わせから、優先度を明らかにしていくという研究の推進方策である。さらに、マルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLの方法が確立して、我々が多施設に供給することにより、多くの教育施設が簡単に導入し継続することができるようになる。さらに、その教育効果の検証を積み重ね明らかにして、臨床医学教育の発展に貢献する。
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