研究課題/領域番号 |
22K10451
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
中島 範宏 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10567514)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 高齢者 / 災害 / 連帯意識 / 地域社会 / 地域共生社会 / 医療提供 / 医薬品管理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「家族に高齢者のいる市民」、「介護事業所」、「在宅医療実施の医療機関」、「町内会」を対象に「高齢者の孤立状況、医薬品の服薬・管理の課題、医療へのアクセス状況の課題、災害時の対応策の有無と取り組み内容、コロナ禍の影響」などを問うWEBアンケート調査を実施する。また、高齢者への医療提供の課題について国内外の文献調査を行う。 これらの調査を通じて、自然災害に被災した高齢者(特に孤立した高齢者)への医薬品供給・管理を中心に、医療提供の在り方や適切な介入方法について検討する。 また、地域共生社会において災害などの非常時における人々の役割や連帯の在り方を1つのモデルとして提示することを目指す。
|
研究実績の概要 |
今年度は文献調査を主に行った。本研究では災害時に孤立するおそれがある高齢者を対象としているが、災害時に要支援者となり得る障害者や妊産婦、外国人に対する災害時の支援の在り方や自治体等の取り組みについても参考にした。 災害時には医療資源や医療従事者のマンパワーが不足しがちであり、災害時に優先されるべき行動や医療資源の利用方針を定めて困難を克服するためには、様々な市民が納得できる理由が必要であり、同じ地域社会で生活する隣人としての連帯意識が存在していることが必要である。 そこで、今年度行った文献調査の内容を参照しつつ、地域社会や連帯意識のあり方を手がかりに医療資源の共有と分配における倫理的課題について検討した。連帯意識は災害時のみならず、平常時から育まれているべきものであるが、近年においては少子高齢化や家族形態の多様化の影響で地域社会の結びつきが希薄になっている。そのため、市民にとって必要な医療の内容を判断する公共的価値が分断されており、必要な医療資源の輪郭が曖昧になってきている可能性が示唆された。この検討内容は論文としてまとめ、「死生学・応用倫理研究」誌に投稿し、採択されている。 高齢者は避難所への移動が困難である可能性が相対的に高いが、孤立高齢者の「孤立」は避難所へ移動できずに自宅で孤立するという意味にとどまらない。災害に備えるための情報、被災時の避難所や医療機関の状況に関する情報、自分自身の医療情報など、情報の共有・管理から取り残されるという意味での「孤立」も存在すると考えられた。そこで、高齢者に対する情報提供の不足が日常的な医療の場でどのような有害事象をもたらしているかを検討するため、日本医療機能評価機構の医療事故データベースを用いた分析も行った。 また、次年度はWEBアンケート調査の実施を予定しているため、上記のような問題意識も踏まえて調査項目の検討作業を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、文献調査の実施とWEBアンケート調査に向けた準備を予定していた。文献調査は計画通りに進んでおり、高齢者以外の要配慮者に対する様々な取り組みについて知見を得ることができた。また、文献調査の一部を参照しつつ、医療資源の共有管理に関連した地域社会のあり方や連帯意識のあり方といった問題の本質部分について倫理的な視点から検討し、論文として公表することができた。また、孤立高齢者の「孤立」の重要な課題として情報提供からの孤立に着目し、当初の研究計画には無かったが医療事故データベースを用いて高齢者への説明不足と有害事象との関係について検討し、学会報告を行うことができた。 WEBアンケート調査の準備については調査項目の検討や統計ソフトの購入などを行った。WEBアンケート調査に向けた倫理審査申請はこれからであるが、全体としてはおおむね順調に研究が進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目も文献調査も継続するが、WEBアンケート調査の比重を大きくして取り組む。 WEBアンケート調査の質問票を完成させて倫理審査を行い、本学の倫理審査委員会から承認を得て速やかに実施する予定である。 得られたデータを統計解析し、学会で報告するとともに論文として成果の公表を行っていきたい。 また、本研究のキーワードに関連したテーマを扱う学会にも参加し、様々な知見を得て研究結果の考察に活かしていきたいと考えている。
|