研究課題/領域番号 |
22K10462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
太田 邦雄 金沢大学, 医学系, 准教授 (00303280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | シミュレーション / 小児救急 / 評価 / DASH / NASA-TLX / 卒前教育 / 小児蘇生 / ハイブリッド |
研究開始時の研究の概要 |
シミュレータの遠隔操作による小児救急医学シミュレーション教育をオンサイト&オフサイト(オンライン)のハイブリッドで実施した場合に①オンサイトと同等の学修効果があるか、②参加形態の違いによる個人の知識・技能・態度の学修効果に違いがあるか、をチームワーク・コミュニケーションの評価とセッション前後の個別OSCEの評価によって明らかにし、また③それぞれの参加形態は、チームのコミュニケーション技術、チームリーダーの役割を学修する環境として適切であるか、を①②と同様の評価とNASA-TLXを用いた負荷仕事量の主観的評価により明らかにする。
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研究実績の概要 |
医学生に対する小児急性期医療のチーム基盤型シミュレーション実習を、学習者がオンサイトとオフサイト双方から参加できるハイブリッドで実施した。すなわち、オフサイト参加者は自らの思考・行動は口述し、オンサイトの指導者を分身として介入させることで、オンサイトの参加者とチームとして参加する実習形態をとった 【目的】①オフサイト(オンライン)であっても、オンサイトと同等の学修効果があるか、②オフサイト(オンライン)とオンサイトのハイブリッドの場合、参加形態の違いによる個人の知識・技術・態度の学修効果に違いがあるか、③参加形態の違いによってチームのコミュニケーション技術、チームリーダーの役割を学修する環境として適切であるか 【研究デザイン】シミュレーショントレーニング介入前後における個人のパフォーマンスの比較と終了後NASA-TLX調査 【研究方法】小児科臨床実習中の医学部5年生に60分間のシミュレーションを行い、セッションの前後で個別に小児の初期評価、初期対応のOSCEを行う 【結果】28組102名の学生(オンサイト55名、オフサイト47名)を対象とした解析では、実習前後で学習者の知識、技能、コミュニケーションスキル能力は優位に向上(シナリオ形式で実施。30点満点。セッション前:12.8±4.3 VSセッション後:23.7±3.7, p<0.001)したが、参加形態による改善度に有意差はなかった(オンサイト 10.9±3.6 vs オフサイト 11.3±3.8, p=0.574)。学生のディブリーフィングの効果に対する認識にも差はなかった(DASHスコア:オンサイト6.3±0.9 vs. オフサイト6.3±0.8,p=0.918)。またシミュレーションの精神的負荷も差がなかった 【結論】小児救急医療分野におけるハイブリッド・テレ・シミュレーションの教育的効果は、参加形態に依存せず同等である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で明らかにしようとする課題には以下のようなものがある ① オフサイト(オンライン)であっても、オンサイトと同等の学修効果があるか、② オフサイト(オンライン)とオンサイトのハイブリッドの場合、参加形態の違いによる個人の知識・技術・態度の学修効果に違いがあるか、③ 参加形態の違いによってチームのコミュニケーション技術、チームリーダーの役割を学修する環境として適切であるか、④ マイクロデブリーフィング法が個人とチームの能力向上に有用であるか ①、②について、シミュレーションセッション前後の客観的臨床能力試験にて学修効果に違いがないことを検証できた また③についても、終了後NASA-TLX調査によって一定の知見を得た ④については効果を実感しているものの効果測定のための研究デザインにはなっておらず、今後の課題である
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況を踏まえ、継続している臨床実習中のハイブリッド・テレ・シミュレーションにおける ④ マイクロデブリーフィング法が個人とチームの能力向上に有用であること、⑤ 学修効果の測定にシミュレーションセッション前後の客観的臨床能力試験を用いていることの妥当性と信頼性評価 特にオンラインで実施したときの信頼性と課題、⑥ オンライン化によって視聴覚認知に伴う負担が学修効果を阻害していないか、⑦ チーム・リーダーの役割を習得する方法として、オンライン参加がメンタルワークロードを軽減するか について更なる検討を加える 完全オンライン・シミュレーションの試みはあるが、その効果検証は不十分であるばかりか、本研究が採用するオンライン&オンサイト・ハイブリッド・テレ・シミュレーションは新しい形式であり、その検証はこれからであるさらに将来的には遠隔教育というシステムが指導者の育成に活用され、指導者不足解消に役立つとともに、分野を問わずシミュレーショントレーニングの基本構造の構築、質の向上に寄与するプラットフォームになることも期待される。
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