研究課題/領域番号 |
22K10476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
土谷 飛鳥 東海大学, 医学部, 准教授 (20530017)
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研究分担者 |
堤 悠介 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部), なし, 医長 (50627320)
康永 秀生 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90361485)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 外傷長期予後 / 患者報告アウトカム / テーラーメイド型 / 社会的患者背景 / 健康関連QOL / 効用値 / 社会復帰支援 / 包括的長期予後 / 外傷 / 予測モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は19K1049の継続研究である。これまでに中等から重症外傷疾患の長期予後追跡システムの構築、患者報告アウトカムと社会的患者背景を中心とした「包括的長期予後データベース」の確立が終了し、高い精度で症例登録・患者追跡が進行中である。2022年度以降は、症例集積と追跡を行うとともに、包括的長期予後データベース基盤と既存の各種臨床情報を統合し、「長期予後の記述的検証」・「長期予後関連因子の探索」・「長期予後予測 モデルの構築」を行い、重点的治療や強化リハビリを要する患者群を特定し、ターゲット患者群に集中的なケアフローを提供する“テーラーメイド型社会復帰支援システムの確立”に貢献する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、本研究の中間報告を第51回日本救急医学会総会・学術集会ハイライトセッション・The 6th World Trauma Congress(trauma survivor session)で発表した。【中間結果】研究参加施設; 16施設, 集積症例数; 977, アンケート取得割合; 2ヶ月(72.5%)/4ヶ月(73.3%)/6ヶ月(77.1%)/12ヶ月(77.5%)/24ヶ月(66.1%), アンケート再送割合; 41.6%, 受傷半年後には患者の約50%が帰宅しており, 1年後にはSF-12v2身体関係ドメイン偏差値40前後, 精神的ドメイン偏差値55, EQ5D5Lでも身体より精神的スコアが良好であった。包括的QOLは日本人の80代男性より低く、慢性維持透析患者と同じ程度のQOLであった。探索的研究では身体的QOLの低下は、高ISS・同居家族が少ないことが、心理的QOLはパートナーがいない事・高学歴でない事・フレイルスコアが高いことが関連していた。 登録症例数は計画より少なくなったが、患者追跡率は良好であり、世界的に見ても高いレベルであった。日本人外傷患者のSF-12v2/EQ5D5L(1年後)精神的スコアが良好であるのは、国民皆保険制度が影響している可能性があるが、包括的QOLは1年後でも患者が障害を抱えていることを示唆しており、社会復帰率向上のためには更なるアプローチが必要と考えられた。 さらに、長期予後を予測するWebアプリケーションを作成した。これにより、来院した時点で当該患者が長期的にいつ・どの程度までQOLが改善するのか、どこで生活しているのかが予測できる。これを利用することで外傷患者全体を最大限社会復帰させるために、必要な訪略(例えば、強化リハビリするべき対象患者など)が判明し、より健康的な社会の実現に貢献できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例集積数はCOVID19のパンデミックにより減少したが、追跡による長期予後取得は順調に進捗している。また、既存の臨床情報と現時点で得られている包括的長期予後データベースの統合を行い、中間解析をした結果、仮説が予想通りであり、新たな知見が得られる見通しがたったから。さらに、Webアプリの構築も順調であるため概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度が最終年であるため、 以下の方策が必要と考えている。 1)既存の臨床情報と包括的長期予後データベースの統合の完了;長期予後調査票の郵送・管理を行なっている外部委託業者の専用端末から、「包括的長期予後データ」を抽出し、各施設から抽出される臨床情報(日本外傷デー タバンクデータ; JTDB と包括医療費支払い制度方式データ; DPC)と突合する。臨床情報は、匿名加工され、対応表番号のみが付与された状態で東海大学に送ら れ同部署内で突合する。また、データクレンジグ(欠損値・エラー値の確認と再入力)を行い、データ精度向上に努める。 2)解析;長期予後に関する記述的検証+長期予後と関連する因子の検証 3)長期予後予測モデルを組み込むためのウェブアプリケーションの完成と簡易予測モデルの調整;目的達成のためには、精度の高い機械学習アルゴリズムによる『長期予後予測モデルの構築』と『予後予測アプリケーションの開発』が必須である。このアプリケーション試用を全国展開するために、『専用のホームページ』も必要であるため、これらを完成させる。
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