研究課題/領域番号 |
22K10482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
研究代表者 |
李 祥任 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 主任 (80819285)
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研究分担者 |
河津 里沙 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 主任研究員 (10747570)
大角 晃弘 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 部長 (30501126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 結核・感染症 / リスクコミュニケーション / デジタルヘルス / ベトナム人 / 外国出生・外国人・移民 / 外国出生・外国人 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大により、感染症に対する人々の予防や受療行動を促進するためのリスクコニュニケーション(Risk Communication: RC)が重要視されている。しかし、海外からの移住者は行政が発信するRCの恩恵を受けにくく、予防行動や医療へのアクセスが遅延しやすい。日本では、移動性の高い若年層を中心としたベトナム出生結核患者が急増している。そこで、本研究はベトナム出生者の結核対策を切り口とし、デジタルヘルス型RCの開発と効果を検証することを目的とする。移住者向けのデジタルヘルス型RCモデルとして、COVID-19等の感染症対策にも応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は以下の段階を踏まえて実施中;(1)結核を含む感染症に関する在住ベトナム人の知識・態度・行動(KAP)と医療ニーズに関する調査。(2)ベトナム人の医療相談・早期受診に役立つ支援リソースに導くアルゴリズムと、ヘルスプロモーションツールの開発。(3)デジタル技術を活用し、べトナム人を対象とした結核のリスクコミュニケーション(RC)を実施し、結核に対する意識や保健行動の観点からRCを評価。 今年度は、在住ベトナム人の健康課題及び結核に関するKAP調査を行い、結核のRCやヘルスプロモーション手法を構築した。ベトナムコミュニティと連携したMigrant Health Action Network (MiHAN: 旧名TB Action Network)として230名から回答を回収した。調査参加者の18%が結核は治癒できないと回答し、最も信頼される情報源は政府機関からの情報であった。参加者の10%が、結核と診断された場合でも医療機関を受診しないと回答し、その主な理由は、医療費や医療機関における言語の壁であった。本調査結果及びヘルスプロモーションの一環として実施した健康相談会の分析結果(127名)は、国内・国際学会で発表した。さらに、初年度の健康に関する課題・行動・ニーズ調査の結果は、国際誌に発表した。 また、これまでの調査結果やSNSによる健康相談の傾向を踏まえて、1)在住ベトナム人によく利用されるSocial Networking Services(SNS)に連動させたアルゴリズム構築、2)ベトナムメディアなどと連携してSNSを通じたRCを展開した。在住ベトナム人からSNSによる健康相談の受け皿を作ったことにより、これまでに40例以上の相談を受け、結核の早期診断に結びついた事例があった。さらに、RCの評価手法を強化・構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査から得られたエビデンスに基づき、在住ベトナム人の医療相談・早期受診に役立つ手法やリスクコミュニケーションを構築、実践していることから、おおむね予定どおりに進めることができた。本研究事業は、ベトナムコミュニティ・移民と連携したParticipatory Action Research (参加型アクションリサーチ)であることが、強みである。SNSを活用したデジタル技術によって、日本各地のベトナム移民とのコミュニケーションを促進しており、本邦における先駆的なモデルづくりを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度に実施したKAP調査について論文投稿を目指す。また、RCの評価手法を強化・構築することにより、評価対象者の拡大と、評価のためのデータ回収・分析を進める。これまでの研究成果の発表も行う。
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