研究課題/領域番号 |
22K10484
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小西 祥子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (70451771)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 妊孕力 / 月経周期 / 甲状腺 / ヨウ素 / 環境曝露 / 出生力 / 化学物質 / 生殖機能 |
研究開始時の研究の概要 |
パラベン類は食品やパーソナルケア製品、化粧品等の様々な製品にふくまれており、日本人のほぼ全員が日常的に体内に取り込んでいる。パラベン類への曝露は男女双方の生殖機能に悪影響を及ぼすと考えられているが、ヒトを対象とした疫学研究で複合曝露の影響を分析したものは限られている。そこで本研究は、パラベン類が男性および女性の生殖機能に及ぼす影響を、複合曝露を考慮しつつ分析することを目的とする。複合曝露については、特に日本の食生活に おいて摂取量の多いヨウ素の影響を考慮して分析する。生殖影響は男性は精液検査値および性機能スコアを、女性は月経周期および抗ミュラー管ホルモン濃度を用いる。
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研究実績の概要 |
前年度に分析した19-21歳の女性175名の月経周期と甲状腺バイオマーカーおよび尿中ヨウ素濃度の関連についての論文を執筆し学術雑誌に投稿した。今回の対象者の大部分は甲状腺関連バイオマーカーの値が基準値内であった。基準値を外れたものの割合は甲状腺刺激ホルモンについて11%、遊離トリヨードサイロニンで2%、遊離サイロキシンで2%であった。抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体は26%、抗サイログロブリン抗体は10%の対象者で陽性であった。尿中ヨウ素濃度と血中のいずれの甲状腺関連バイオマーカー(甲状腺刺激ホルモン、遊離サイロキシン、遊離トリヨードサイロニン、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、抗サイログロブリン抗体)濃度との間にも関連がみられなかった。尿中ヨウ素濃度をクレアチニン濃度あるいは尿比重で調整した場合にも結果は同様であった。20-34歳の日本人女性を対象とした先行研究では血中の遊離サイロキシンおよび遊離トリヨードサイロニン濃度と尿中ヨウ素濃度が負の関連を示したのに対して、今回の研究では同様の傾向は観察されなかった。両研究の結果の差異が対象とした女性の年齢の違いによるのか、あるいは別の要因によるのか現時点では不明である。 液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC-MS/MS)を用いて尿中パラベン濃度を測定するための測定系を確立した。本研究で分析を予定しているのは男性の尿検体であり、女性と比較して尿中パラベン濃度が低いことが予測されるため、予備測定を繰り返して精度の高い測定系を確立した。 本研究ではパラベン類曝露およびヨウ素摂取の複合影響を分析するため、その準備として化学物質の複合曝露の評価方法に関するレビュー論文を共同研究者とともに執筆し日本衛生学雑誌に投稿した。論文は同雑誌に掲載され、日本衛生学雑誌の最優秀論文賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
尿中パラベンの高精度の測定系を確立することができたものの尿試料中のパラベン濃度の測定はできなかったため当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は男性の尿試料中のパラベン濃度を測定し、これらの濃度と性機能の関連について複合曝露を考慮した統計解析を行い、成果を学会で発表する。その後速やかに論文として投稿する。
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