研究課題/領域番号 |
22K10489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 元樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40723581)
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研究分担者 |
亀田 倫史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40415774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | がん予防 / 天然化合物 / ケモプロテオミクス / 分子動力学シミュレーション / がん予防学 / がん腫瘍学 / 食品成分 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的にみても、これまでに実践的ながん予防創薬法を確立した例がないのが現状である。本研究課題は、ケモプロテオミクスを用いて、がん予防標的分子を明らかにすると同時に、スーパーコンピューターを用いた、タンパク質-化合物の結合予測スクリーニングの先端技術(分子動力学シミュレーション)を取り入れることで、がん予防創薬に必要なヒット化合物を一挙に得ることが可能となり、得られたヒット化合物を最適化することで、迅速かつ効率的にリード化合物を見出すことを目標とする。以上の創薬戦略は、がん化学予防の社会実装を視野に入れた、世界的にみても類を見ない全く新しい独自のがん予防創薬基盤の創製になりうるものと考えている。
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研究実績の概要 |
本研究は、天然化合物の結合タンパク質を網羅的に解析するケモプロテオミクスの技術と、計算構造生物学による分子動力学(MD)シミュレーションを組み合わせることで、これまで前例のないがん予防創薬の基盤確立を目指す研究課題であり、初年度の令和4年度は次に示す通り、当初の計画以上に順調な進捗を示した。まず文献ベース及び申請者の実績ベースに、がん予防効果を有するテスト化合物として、ゴマ油の成分であるsesaminolと、シソやハーブに含有されるperillyl alcohol (POH)を選択した。両化合物はともにヒト大腸がん細胞株やヒト肺がん細胞株に対し、著明な細胞増殖抑制効果を示した。次にsesaminolとPOHを各々ナノ磁性ビーズに固定化し、がん細胞抽出液と反応させ、両化合物の結合タンパク質を精製し銀染色を行ったところ、両化合物に共通の結合タンパク質を示す20KDa近傍のバンドを同定した。そのバンドを質量分析計にて解析したところ、これまで固形がんとの関連が報告されていなかったリボゾームタンパク質ribosomal protein S5 (RPS5)であることが判明した。siRNAを用いてRPS5を発現枯渇させたところ、がん細胞の増殖は著明に抑制され、また公共データベース解析により、RPS5の高発現は大腸がんや肺がんの予後不良因子であることも確認できた。そこでRPS5と、そのリガンドであるsesaminolやPOHとの結合様式について、スーパーコンピュターを用いたドッキングシミュレーションを行ったところ、両化合物ともRPS5がリボゾーム形成時には露出していない面に結合することが示された。即ち、これは両化合物がfreeのRPS5に結合し、近年、注目のリボゾームタンパク質のextraribosomal functionに影響することで、抗腫瘍効果を発揮する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題に注力するに当たり、採択前より事前に文献ベースでのテスト化合物のサーベイランスや、研究代表者の専門であるケモプロテオミクスの実験系の構築は言うに及ばず、スーパーコンピューターを用いた化合物とその結合タンパク質のドッキングシミュレーションがうまく作動するかなどの予備検討はほぼ完了していたことが、プロジェクトのスムーズなキックオフに繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)当初の計画通り、セサミノールとPOHを用いた実験系はスムーズに動くことが確認されたため、さらにがん予防天然化合物の候補物質を増やし、同様の手法で検証範囲を拡大していく。 (2)今回得られたがん予防標的分子候補のRPS5に対し、細胞分子生物学的及び構造生物学的観点から、その機能や構造について、さらに詳細な解析を行い、RPS5ががん予防の真の標的分子として適切であるかどうかについて慎重に検証する。 (3)②の検証結果も踏まえ、スーパーコンピューターを用いた分子動力学シミュレーションによるRPS5リガンドスクリーニングを本格的に進めていく。
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