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ケトン体システムを用いた新たな生活習慣病予防基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K10507
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
研究機関富山大学

研究代表者

稲寺 秀邦  富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (10301144)

研究分担者 崔 正国  福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (90572115)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
キーワード衛生学 / 生活習慣病 / ケトン体
研究開始時の研究の概要

人類が長く健康に生きるために「ブドウ糖システム」を「ケトン体システム」へ適切に変換することの有用性を実験的に明らかにする。生理的で身体にやさしい「ケトン体システム」を誘導することが、生活習慣病の新たな予防法となることについての知見を取得し、超高齢化社会を迎えたわが国のニーズに応える。

研究実績の概要

人生100年時代では日常生活の中で自然に疾患予防ができる社会の実現が必要である。
ケトン体は生体に存在し、空腹時に脂肪酸をもとに肝臓でアセト酢酸やベータ-ヒドロキシ酪酸として合成される。人類の発生から農耕の開始まで「ケトン体システム」はホモサピエンスが長年なじんできたシステムである。人類は約700万年間の狩猟・採集時代を経て、約1万年前に農耕・穀物摂取時代へと突入した。約1万年前の農耕の開始により、人類は「ケトン体システム」から糖質摂取による「ブドウ糖システム」を優先させる環境に移行した。人類が穀物(糖質)を主食とするのは、人類史においてわずか700分の1の期間にすぎない。ブドウ糖は細胞質で一部が乳酸に変換され、完全に酸化されることはない。これに対してケトン体は、血中に十分な濃度が存在すると細胞膜とミトコンドリア膜を通過して、直接ミトコンドリアのエネルギー基質となり完全に酸化される。このことは「ケトン体システム」は「ブドウ糖システム」と比較して、エネルギー効率が圧倒的に高いことを示唆している。近年ケトン体は炎症を抑制することが報告されており、加齢にともなう慢性炎症を制御し、炎症を基盤とした生活習慣病の進行を遅らせる可能性がある。
本研究の目的は、生理的で安全な「ケトン体システム」の有用性、特に慢性炎症、老化、癌に及ぼす効果について衛生学の視点から検証することである。人類が長く健康に生きるために「ブドウ糖システム」を「ケトン体システム」へ適切に変換することの有用性を実験的に明らかにする。生理的で身体にやさしい「ケトン体システム」を誘導することが、生活習慣病の新たな予防法となる可能性についての知見を取得し、超高齢化社会を迎えたわが国のニーズに応える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酸化ストレスは老化により生じる生体変化のひとつであり、様々な病態と関連する。はじめに培養細胞を用い、酸化ストレスに及ぼすケトン体の効果について検討した。酸化ストレスの原因のひとつは高血糖である。ヒト肝癌細胞株HepG2細胞を高グルコース培養下に飽和脂肪酸(パルミチン酸)を添加することにより、酸化ストレスが誘導された。この系を用いて、ケトン体の酸化ストレスおよび細胞内抗酸化酵素活性に及ぼす影響を検討し、ケトン体が細胞の酸化ストレスを低減させる可能性を見出した。
次にケトン体のがん細胞増殖に及ぼす影響について検討した。培養癌細胞株HepG2(肝癌)、HeLa(子宮頸癌)、U937(リンパ腫)、AGS(胃癌)、MCF7(乳癌)、SW480(大腸癌)、A549(肺癌)細胞を用いて検討したところ、ケトン体は一部の癌細胞の細胞増殖を抑制する効果を有することが示唆された。

今後の研究の推進方策

令和6年度は動物モデルを用いた検討を行う。肥満糖尿病 db/db マウスを用いて、体重、血糖値、インスリン濃度、脂肪組織重量、肝臓内中性脂肪含量に及ぼすケトン体食(Ketogenic Diet:KD)の効果を検討する。KDは通常、低糖質、高脂肪食で構成され、糖質制限食により血中ケトン体濃度は、100倍程度上昇することが報告されている。KDの効果を検討する目的で、マウスをKD(0/90/10, 糖質/脂質/蛋白質)、高脂肪食 (15/75/10, 糖質/脂質/蛋白質)、低脂肪食(78/12/10, 糖質/脂質/蛋白質)の3群に分けて3-4週間飼育する。体重、脂肪組織重量を検討し、肝臓、脂肪組織における炎症・酸化ストレスマーカー、AMP-activated protein kinase(AMPK)活性を比較する。さらにKDが脂肪組織へのマクロファージ浸潤や、腎臓・血管障害に及ぼす影響について組織学的に検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 乳児期におけるチーズの摂取頻度と睡眠時間の関係-子どもの健康と環境に関する全国調査より-2023

    • 著者名/発表者名
      井上真理子、松村健太、浜崎景、土田暁子、稲寺秀邦.
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会 2023,9, 15-17. 神戸
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 乳児期におけるヨーグルトの摂取頻度と睡眠時間の関係-子どもの健康と環境に関する全国調査より-2023

    • 著者名/発表者名
      井上真理子、松村健太、浜崎景、土田暁子、稲寺秀邦.
    • 学会等名
      第82回日本公衆衛生学会総会 2023,10, 31-11,2. つくば
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)-これまでと今後-2022

    • 著者名/発表者名
      稲寺秀邦
    • 学会等名
      環境化学物質3学会合同大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 妊娠中の魚介類・n-3系脂肪酸摂取と出生児の睡眠との関連2022

    • 著者名/発表者名
      土田暁子、松村健太、浜崎景、稲寺秀邦
    • 学会等名
      第81回日本公衆衛生学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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