研究課題/領域番号 |
22K10510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
荻野 景規 高知大学, 医学部, 特任教授 (70204104)
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研究分担者 |
今釜 崇 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00634734)
長岡 憲次郎 松山大学, 薬学部, 講師 (40752374)
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (50313747)
栄徳 勝光 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 講師 (50552733)
NAJI ABDERRAHIM 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 講師 (90650903)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ミトホルミシス / 好中球 / アルギナーゼ / 抗酸化酵素 / ミトコンドリア抗酸化酵素 / 末梢血単核球 / ミトコンドリアDNA |
研究開始時の研究の概要 |
運動習慣が誘導する筋組織のミトコンドリア機能上昇(ミトホルミシス)が、末梢血単核球でもみられることを発見した。この現象が運動の健康増進のバイオマーカーとして応用可能であることを、運動介入研究および横断研究によって実証した。本研究では、①なぜミトホルミシスが骨格筋と末梢血の両方でみられるのか、②この現象が運動と関連する臨床的または社会的指標として応用可能か、③前向きコホート研究で運動習慣の健康増進効果指標としての有用性が証明できるかどうかの3つを検証する。①には培養細胞や動物実験をもちいた基礎的実験を行い、②および③についてはヒトを対象とした研究を行う。
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研究実績の概要 |
山口大学医学部整形外科との共同研究「整形外科手術前後のミトホルミシス現象を利用した患者活動量の定量化」(管理番号H2020-128)については、現在、血球の核酸抽出が終了し、抗酸化酵素遺伝子やミトコンドリアDNAの測定を開始した段階である。核酸の質と量は問題ないことが確認できており、SOD2およびSOD1の解析から開始した。 また「内因性ミトホルミシス誘導因子の同定」に必要な残存血清が限られていたことから、以前の横断研究(Ogino S et al., 2021)の残血清も利用する必要があり、新たに研究計画の申請を行って2022年12月に承認された (承認番号2022-91)。筋肉組織のミトホルミシスを全身に伝播させる因子として、血中の酸化ストレスが重要であることが報告されているが、運動で好中球数が上昇すること(Mizokami T et al., 2023) や、アルギナーゼ活性が上昇すること(Tsukiyama Y eyal., 2017)もミトホルミシスに寄与すると思われる。これらの因子を目的として、血清を限外濾過やサイズフィルターによって分画し、それぞれを解析する実験を今年度から開始した。 SEPP1およびSOD2の転写調整機構の解析をする際に、まずはヒト初代細胞ではなくヒト血球系培養細胞を用いる方針となった。初代培養は継代ができず、コスト面で問題となることがわかったからである。比較的培養が簡単なHL-60を用いた実験を開始したが、H2O2などの刺激によって、SEPP1およびSOD2がPBMCと同様に動くのかを確認する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「整形外科手術前後のミトホルミシス現象を利用した患者活動量の定量化」については、COVID-19による影響で通常診療が妨げられ、患者からの検体採取時期が変更になったことが理由である。また「内因性ミトホルミシス誘導因子の同定」に必要な残存血漿量が多くないことがわかったため、運動習慣の詳細な問診を行っていた以前の横断研究(Ogino S et al., 2021)の残血漿を利用する方針となり、新たに研究計画の申請を行って2022年12月に承認された (承認番号2022-91)ことも遅延の原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
「整形外科手術前後のミトホルミシス現象を利用した患者活動量の定量化」 抗酸化酵素のうち二つの研究で有用性が証明されているSOD2の解析から開始する。次にSOD1、SEPP1、Catalaseの解析も追加し、リハビリテーションによる介入で有意な変化があるかどうかを検討する。次に、臨床的な指標(ADLや、栄養タンパク質アルブミン、筋力、術後の転機など)とこれらの値の関連性について統計学的に解析していく予定である。ミトコンドリアDNA量についても並行して解析を行っていく。
「内因性ミトホルミシス誘導因子の同定」 運動によって好中球数が上昇すること(Mizokami T et al., 2023) や、アルギナーゼ活性が上昇すること(Tsukiyama Y et al., 2017)から、筋肉組織のミトホルミシスを全身に伝播させる因子には、これらが因子も関連していると思われる。とくに好中球の脱顆粒によるエラスターゼやMPOは血中の酸化ストレスに強い影響を及ぼす可能性が高い。アルギナーゼが好中球から分泌されている可能性もあり、これらの活性測定を軸として、血清検体の解析を進めていく。
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