研究課題/領域番号 |
22K10512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
鈴木 周五 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60363933)
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研究分担者 |
藤岡 正喜 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (10648463)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肝発がん / メタボローム / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / ヒ素 / エピジェネティックス |
研究開始時の研究の概要 |
環境中に存在するヒ素による肝発がん作用は広く知られているが、その発がん機序については未だ十分に分かっていない。我々は先行研究において、ジメチルアルシン酸(DMA)が経胎盤ばく露した仔マウスの肺および肝臓に発がん性を認めることを確認した。また、DMA肺発がんにおいて、エピジェネティックな変化が発がんに寄与する事を報告した。本研究では、DMAの肝発がんに対して、エピジェネティックス制御を介した発がんへの起点を検証するとともに、脂質代謝異常に着目した遺伝子発現制御やメタボローム解析による肝発がん機序を検証し、ヒ素による新たな肝発がん機序を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、DMAの経胎盤ばく露した6週齢仔マウスの凍結肝臓を用いて脂質に着目したメタボローム解析を詳細に検討した。DMAばく露により増加している脂質はSterol Lipidsに属するCholesterol Esterや、Glycoglycerolipidsに属するTriglyceride (TG)で、特にTGはTG(51:4)やTG(52:4)など、多数の分画で増加を確認し、DMAばく露による主な脂質代謝変化はTGの蓄積であることが判明した。一方、低下する物質として、Fatty acidやLysophosphatidylglycerol、Phosphatidylcholineが見られた。以前の結果ではCholesterol量に差がない結果を示したが、今回の精査によりCholesterol量のやや低下傾向と、一部のCholesterol Esterについては増加を示し、遺伝子発現変化はnegative feedback制御を受けている可能性が存在した。また、これまでに確認した遺伝子発現による脂質代謝制御異常とともに、TGを主体とする蓄積異常が肝発がんに関わる可能性を示した。 DMAばく露6週間後の仔マウス肝臓においても遺伝子や脂質代謝に変化が継続して存在することから、脂質代謝制御にDNAメチル化による遺伝子発現制御が関わる可能性がある。本年度は、その解析に必要な材料を準備した。来年度の初めに解析を実行し、遺伝子発現制御と発がんに鍵となる遺伝子を同定し、脂質蓄積異常との関連を検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DMAの経胎盤ばく露した6週齢仔マウスの凍結肝臓を用いて、メタボローム解析を行った結果、脂質蓄積異常が詳細に確認できた。コレステロール合成代謝経路関連の遺伝子発現低下と、肝組織内のTriglycerideを主体とする脂質蓄積異常から、特有の脂質代謝異常がDMA肝発がんに関わる可能性がより強く考えられる結果が得られた。それらの異常を制御する因子を同定し、その相関性や制御機構、肝発がんに関わる因子を検証する予定である。 また、来年度はDNAメチル化異常を検討予定であり、その解析準備が整った。 以上から、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記の結果を踏まえ、DNAメチル化解析による遺伝子発現制御を中心に行う予定である。また、肝組織におけるメタボローム解析では、脂質の存在と発がん性について文献的にも検討し、発がん機序に関わる脂質を検証する予定である。
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