研究課題/領域番号 |
22K10516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
杠 智博 摂南大学, 薬学部, 助教 (10783011)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | CYP1A / 非アルコール性脂肪肝疾患 / ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 / 複合曝露 / NAFLD |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD) の発症・増悪に対する生活関連物質の非意図的曝露の影響が懸念されている。このことから、複数の化学物質が相加・相乗的にNAFLDを増悪化させる可能性が推察される。本研究課題は、酸化ストレスの発生等に関与するCYP1A誘導物質とNAFLD患者の多くが服用する代謝性疾患治療薬に着目し、それらの複合曝露がNAFLDに及ぼす影響の解明を目的として、in vitroモデルを用いた種々の検討を行う。本研究課題の完遂により、日常的に曝露されうる生活関連物質によるNAFLDの非意図的な発症・増悪化を防止するための基礎的知見の集積・提供が期待される。
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研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の罹患率は約25%に上るものの、日米欧で承認された治療薬はまだなく、合併する代謝性疾患に対する薬物、食事及び運動療法を行っているのが現状である。一方、NAFLDの発症及び増悪に生活環境中の化学物質(生活関連物質)の曝露が関与することが報告されている。従来、生活関連物質の生体毒性は単一の物質ごとに評価されてきた。しかし、環境化学物質、食品添加物、医薬品等、日々様々な化学物質に曝露される現代において、それらが生体内で作用しあい、相加、相乗的に毒性を増大させることが考えられる。本研究課題では、酸化ストレスの誘導等の様々な生体反応に関与するCYP1Aに着目し、複数の生活関連物質の複合曝露がCYP1A誘導作用、及びNAFLDにおける酸化ストレス、炎症、脂肪蓄積、並びに線維化等に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 令和4年度はラット肝細胞株H-4-II-E細胞に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPPARα活性化剤の複合曝露影響を検討した。その結果、両者はCYP1A遺伝子発現量及びROS活性を増大させた。さらに、両者の複合曝露により、作用が相乗的に増強することが観察された。 令和5年度は肝線維化に関与する肝星細胞に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPPARα活性化剤の複合曝露が及ぼす影響をヒト不死化肝星細胞LX-2細胞を用いて検討した。その結果、BUVSsはCYP1A誘導作用及びROS活性の増大作用を示したが、PPARα活性化剤はBUVSsによるCYP1A誘導作用を阻害した。以上より、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が肝線維化に関与する可能性、並びに生活関連物質の複合曝露が作用部位によって異なる影響を及ぼす可能性が示唆され、複合曝露においても多角的な毒性評価の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPPARα活性化剤の複合曝露について、肝星細胞への影響を検討し、肝細胞と異なる影響を現す可能性を見出した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が肝線維化に関与する可能性を示唆するとともに、複合曝露影響に関する多角的な毒性評価の必要性を示唆するものであり、おおむね計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPPARα活性化剤の複合曝露を中心に、脂肪肝及び線維症モデルに対する複合曝露影響についての検討を実施する。また、他の生活関連物質についても検討を行う予定である。
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