研究課題/領域番号 |
22K10524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
所 伸介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20613475)
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研究分担者 |
高橋 健太郎 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (20163256)
越田 繁樹 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (70372547)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 胎児発育不全 / 事前診断率 / 診断支援ツール / 後期死産 / 周産期管理 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の周産期死亡率の低さは世界トップレベルであるが、後期死産には予期不可能なものが多く、効果的な予防策を講じることが困難である。後期死産にはFGRが多く含まれ、さらにこれらの多くが分娩前に認識されていない可能性がある。 本研究では、滋賀県内の過去10年間の死産症例データから、FGRと診断されるべきであった症例を抽出し、その周産期背景、FGRが妊娠中に正しく認識されていたか、さらに妊娠管理が適切であったかなどについて後方視的に検討する。そしてFGRの診断や妊娠管理における問題点を明らかにし、これらに対する対処可能な事項について地域の医療従事者や妊婦に啓発し、死産を含む周産期予後の改善を目指す。
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研究実績の概要 |
令和4年度の検討として、FGRに関する検討が挙げられる。 まず、2007年から2016年までの滋賀県におけるすべての死産症例について、多胎、妊娠週数不明または妊娠週数22週未満の出産、致死性障害を除外基準として検討した。FGRの定義は妊娠週数に対する推定胎児体重のZスコア<-1.5標準偏差(SD)とした。 その結果、死産429例中、FGRと診断されるべきであった死産は94例であった。37例は妊娠管理中に同定されていた(事前診断率は39%)。ここで、Zスコア=-2.5SDで症例を分割すると、51例が-2.5SD未満であった。これらZスコアが-2.5SD未満の51例中28例(診断率55%)がFGRであると事前診断された一方で、Zスコアが-2.5SD以上の43例中FGRと事前に診断されたのはわずか9例(診断率21%)であった(p=0.002)。さらにZスコアが-2.5SD未満の症例におけるFGRの事前診断率については、妊娠28週以降で21例中16例(76%)であったのに対し、妊娠28週未満では30例中12例(40%)に過ぎなかった。(p=0.023)。以上のことから、本症例で検討した死産に至るFGRにおけるFGRの事前診断率は全体で約40%であり、その診断率はZスコアが-2.5SD未満で有意に高くなっていた。また、これらのより小さなFGR症例では妊娠週数が28週以降で有意に事前診断率が高くなることが明らかとなった。 上記の成果については国際雑誌に投稿済みである。 さらに現在はFGR診断支援ツールに関して妊婦向けアプリケーションを開発している業者にアドイン機能として組み込みを出来ないか否かの問い合わせし協業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FGRの死産症例に関する検討はほぼ順調に進行し、一定の成果が得られたと考えられる。 今後の診断支援ツールの開発・頒布についてはアプリケーション開発業者との協業が必要であり、スケジュール管理には注意を要する。
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今後の研究の推進方策 |
FGRの診断支援ツールの開発・頒布について、協業業者との情報共有、スケジュール管理を推進していく必要がある。
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