研究課題/領域番号 |
22K10548
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
尾谷 仁美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), がん対策センター 政策情報部, 生物統計研究職 (70896886)
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研究分担者 |
森島 敏隆 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター政策情報部副部長 (10728893)
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター疫学統計部部長補佐 (20611809)
宮代 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター 所長 (80501824)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 多重がん / 小児がん / がん登録 / 寄与危険割合 |
研究開始時の研究の概要 |
がん患者の増加と治療成績向上にともない、がんサバイバーが増えている。がんサバイバ ーが新たながんを発症する「多重がん」はサバイバーとその家族にとって不安要素であり、公衆衛生上の課題でもある。本研究では、多重がんの発症要因(環境の関与、個体の素因、一次がんの治療など)がサバイバー人口全体に与えている負担の大きさ(寄与危険割合)と、各要因に起因する多重がんの罹患数の長期的動向を、最新のエビデンスを用いて高い精度で推計する。得られた情報は日本における多重がん罹患の経時推移を示すベンチマークとなるほか、効果的な予防対策を講じるためのエビデンスとなることが期待される。
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研究実績の概要 |
我々の研究班は、本研究に先立って大阪府の15~79歳のがん患者における二次がん罹患リスクを評価し、国際学術誌にて論文発表している(2022年1月)。2022年4月より開始した本研究では、大阪府における0~14歳の患者の二次がん罹患リスクを分析することで、小児・AYAおよび成人がん患者の多重がん罹患の長期的推移に関するデータを提供することが可能となった。研究結果は国際学術誌Cancer Science(IF 6.518)で英文論文として発表したほか、IACR国際学会(2022年11月)にてポスター発表を行い世界各国のがん登録実務者・研究者に共有した。研究成果をがん対策に還元する活動としては、大阪府がん診療連携協議会(2022年7月)や大阪成人病予防協会市民公開講座(2023年2月)にて、がん対策実務者や一般市民にも情報を提供した。今後、大阪府における第4期がん対策推進計画の策定に活用される予定である。 本研究は、人口ベースデザインにて小児がん患者の二次がん罹患リスクを評価した日本で唯一の研究である。小児がんサバイバーが二次がんに罹患するリスク(標準化リスク比)は一般人口の5.0倍であり、一次がんと二次がんの診断間隔は11.6年(中央値)だったことが明らかになった。また、小児がんサバイバーの20-24歳時での積罹患リスク(1.8%)は一般人口の40-44歳時のものと同程度であり、壮年期の問題に早く直面していることが示唆された。一次がんの治療(化学療法、放射線治療)によっても二次がんのリスクが高まることが定量的に示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は4年計画であり、初年にあたる令和4年度には①多重がん罹患の過去から現在までの推移(罹患率、罹患数、累積罹患リスク、相対リスク)の分析と、②多重がんの病因論に関する文献レビューを行う計画であった。 研究班は順調にデータ分析および成果の発表を行っており、①については小児がん患者における長期的な二次がん罹患および生存率の分析結果を学術論文および学会にて発表したほか、大阪府にも情報提供することでがん対策推進計画への還元を図った。 ②については、現在までに多重がん罹患リスク(飲酒・喫煙等の生活習慣、身体状態、一次がんの治療、がん関連感染症等)の保有割合、人口分布および寄与危険割合に関する文献のレビューが完了している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、①がんの推計に関する文献レビュー、統計処理方法についての学習と、②多重がん要因の寄与危険度の定量評価を行うことで、最終的に多重がんリスク要因の寄与危険割合、多重がん罹患、多重がん超過罹患(介入によって回避できる多重がん罹患数)の将来予測を行う。これまでに得られた小児・成人における多重がん罹患の長期推移に基づき、Age-Period-Cohortモデルによる推計を行う。
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