研究課題/領域番号 |
22K10553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
望月 美恵 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (40422688)
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研究分担者 |
雨宮 伸 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (10118903)
菊池 透 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10240772)
横道 洋司 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20596879)
武者 育麻 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40750047)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 血糖管理指標 / GA/HbA1c比 / 糖尿病性合併症 / ヘモグロビンA1c / グリコアルブミン / 重症低血糖 / グリコアルブミン/HbA1c比 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘモグロビンの糖化されやすさには個人差があり、同じ血糖値でもヘモグロビンA1c(HbA1c)には高い人低い人がいるため、HbA1cは血糖値の管理指標としては不十分である。ヘモグロビンの糖化されやすさを示し、個人内で長期に渡り変動が少ない固有値をもつ指標がグリコアルブミンとHbA1cの比(GA/A1c比)である。 本研究は、1型糖尿病患者のコホートで長期合併症予後調査を行い、HbA1cに加えGA/A1c比を用いることが、血管合併症と重症低血糖をよりよく予測するかを検証し、他のヘモグロビンの糖化されやすさの指標との関係式を求め、GA/A1c比の有用性を示すものである。
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研究実績の概要 |
ヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖尿病患者の代表的な血糖管理指標であるが、ヘモグロビンの糖化されやすさには遺伝的な個人差があり、同じ血糖値でもHbA1cが高い人と低い人がいるため、HbA1cのみでは個人の特性を反映し得ない。研究の目的は、1型糖尿病患者コホートで長期の合併症予後調査を行い、HbA1cに加えてヘモグロビンの糖化されやすさを示す指標であるグリコアルブミンとHbA1cの比(GA/A1c比)を用いることが糖尿病の血管合併症と重症低血糖をよりよく予測するかを検証することである。また、HbA1cと血清糖化蛋白の同時測定での分布の差から求められるGlycation gapと、実測のHbA1c値と持続血糖測定で測定した平均血糖値から推定されるHbA1c値の差として求められるHemoglobin glycation indexという2つのヘモグロビンの糖化されやすさの指標との関係式を求め、GA/A1c比の有用性を示すことである。 検討対象は、我が国最大の1型糖尿病患者コホートである小児インスリン治療研究会の登録症例である。1995年開始の第1から2013年開始の第4コホート分の連結されたデータは固定できたが、2018年開始の第5コホートのデータは未固定の為使用できなかった。 本年度は、固定データを用い、第55回日本小児内分泌学会学術集会で「低血糖症例は、GA/HbA1c比の最も小さい第1四分位群で血糖管理が良いほど多い」、第66回日本糖尿病学会年次学術集会で「GA/ HbA1c比は長期間安定した各個人固有のglycation gapの指標である」、「持続血糖測定施行症例で、GA/HbA1c比が低値であるほど血糖変動が大きい」ことを報告した。現在論文化を進めている。 北海道内発症1型糖尿病児の長期予後に関する研究に参加し、「生命予後と透析予後の改善、死因の急性糖尿病性合併症から末期腎不全への変化」を報告し、現在英文誌に投稿中である(第55回日本小児内分泌学会学術集会、第33回日本疫学会学術総会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の遅れは、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、小児インスリン治療研究会の登録患者の受診控えによるデータ収集の不足、研究会メンバーによるデータ整理が未完了であるためである。本研究では、小児期発症1型糖尿病患者のデータでとして小児インスリン治療研究会のコホートデータを使用する。しかし、多施設共同で行っている第5コホートのデータクリーニング作業の遅れがでているため、当初計画のデータ解析に着手できず、既存データで重症低血糖発症頻度に関する解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年3月に第5コホートのデータ登録が終了したため、早期に第5コホートの全データを固定クリーニングし、今年度中に固定された第1~5コホートの連結データシートを完成させ、重症低血糖頻度に加え、微量アルブミン尿出現時期に関する長期予後調査を行い、解析に着手する。また、昨年度の研究結果の論文発表をすすめる。 GA/HbA1c比とHbA1cと、血清糖化蛋白の同時測定での分布の差から求められるGlycation gapと実測のHbA1c値と持続血糖測定で測定した平均血糖値から推定されるHbA1c値の差として求められるHemoglobin glycation indexという2つのヘモグロビンの糖化されやすさの指標との関連を、各症例の登録コホートごとに検証する。 これらの検討に際し、分担研究者横道の助言を得、統計学的手法の妥当性を確保する。また、研究分担者雨宮・菊池・武者からは分析方法と分析結果についての助言を得ることが欠かせないと考えている。 並行し、研究分担者武者と共に、GA/HbA1c比の家族内相関の検討、GA/HbA1c比が家族内で集積しているかについての検討も行い、こちらも英文誌上で発表したいと考えている。
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