研究課題/領域番号 |
22K10564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
引地 博之 北里大学, 医学部, 講師 (00711186)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 東日本大震災 / 疫学調査 / データクリーニング / 認知機能 / 被災経験 / 心的外傷後成長 / 被災高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
自然災害における被災高齢者は認知機能低下のリスクが高く、その保護要因の解明が求められている。脳科学や認知科学研究は、トラウマ経験後に心的成長を遂げる「心的外傷後成長」に至る認知活動が、認知機能改善に寄与する可能性を示唆しているが、それが被災高齢者の認知機能保護に結びつくかどうか検討されていない。本研究では、東日本大震災で被災した高齢者から得られた縦断データを解析し、心的外傷後成長が被災高齢者の認知機能低下を予防するか検討する。
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研究実績の概要 |
まず、心的外傷後成長に関する国内外の文献レビューを行った後に、測定尺度開発を進めている研究者にコンタクトを取り、本研究により適した尺度をご紹介いただいた。この尺度は、1)他者との関係、2)新たな可能性 、3)人間としての強さ、4)実存的精神性的変容、5)人生に対する感謝、の5因子について、10項目の設問を用いて測定するものである。これに加えて、手段的日常生活動作(バスや電車の利用、日用品の買い物、食事の用意、請求書の支払い、預金の出し入れ)を測定する老研式活動能力指標を盛り込んだ自記式調査票を完成させた。この調査票には、上記の2要因に加えて、全身疾患やうつ、心的外傷後ストレス症状(Posttraumatic stress symptoms: PTSS)、BMIといった健康状態、ソーシャル・ネットワークやソーシャル・キャピタル、学歴や所得や就業状態などを尋ねる設問も含まれており、様々な要因の交絡を考慮する多変量解析に対応可能となっている。各質問は複数の研究者でディスカッションを行い、意見を取り入れ修正しながら作成した。その後、東日本大震災前の2010年から3年おきに実施してきた縦断調査の回答者を対象とする追跡調査を実施した。調査の際には、回収率向上のためにコミュニティFMを通じて調査実施を地域住民に周知した。調査は自治体と共同で実施した。調査期間中は自治体庁舎に研究者が赴き、対象者からの質問やクレームに回答する電話対応を行った。また、使用が想定される統計解析法について専門家に対するヒアリングも実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載の通り、2022年度は心的外傷後成長と手段的日常生活動作を測定する尺度を掲載した自記式調査票を作成し、これまでの調査回答者を対象とする追跡調査を完遂することができた。
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今後の研究の推進方策 |
データクリーニングが終わり次第、多時点パネルデータを作成し、統計解析を開始する。まず、心的外傷後成長とPTSSとの関連を精査する。この取り組みから得られた知見は、心的外傷後成長と認知機能の関連を検証する際に考慮すべき変数について重要な示唆を与える。
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