研究課題/領域番号 |
22K10580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
小田切 圭一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (70529213)
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研究分担者 |
佐々木 重樹 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 上席研究員 (10502578)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 林業 / ウェアラブルデバイス / ストレス / 酸化ストレス / 林業作業 / 身体的疲労 |
研究開始時の研究の概要 |
林業は労働災害の発生が極めて多く、作業による疲労が労働災害の発生に関与するとため、作業者の疲労状況を把握することが重要であるが、その作業環境の特殊性から疲労度を把握するのが困難である。本研究では、林業作業従事者を対象として、ウェアラブルデバイスで測定される手首の3軸角速度、3軸加速度などのデータとヘルメットに装着したビデオカメラで撮影した画像を比較することで、作業種、作業負荷を判別する。また、作業者の身体的・精神的疲労度をVAS、アンケート調査、酸化ストレス指標で定量化し、ウェアラブルデバイスで得られる生体データと比較することで、簡便で客観的な疲労度の推定方法を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究課題採択前から実施されていた。ウェアラブルデバイスによる3軸加速度、3軸各側のどの測定と、カメラによる林業作業の測定、並びに心拍数の測定を2022年11月1日(2名、植栽作業)、2022年12月12日(3名、伐倒作業)、2023年1月11日~12日(各3名、伐倒作業)の延べ11名に実施した。これまでに蓄積されたデータと合算して伐倒作業中のセンサーデータに対して機械学習を用いた作業識別を行った。合成加速度を連続ウェーブレット変換した後のスカログラム係数の0.1秒間の一次元データを特徴量として使い、動画で確認した作業種別から識別ラベルを作成した。識別にはサポートベクターマシン(ガウスカーネル)を用い、識別精度を交差検証(5層)により評価した結果は図1のようになった。サンプル数:168、正確率:137/168=81.5%であり、連続ウェーブレット変換による特徴量の使用は作業識別に有効であることが示された。 また、生体データを収集するウェアラブルデバイスである。Galaxy Watch 4で心拍に加えて体水分量を含む体組成データを研究目的で収集するための最適化を実施した。テスト使用した際の問題点として、6時間の連続心拍測定をした場合、初期設定では電池が持続せず途中でシャットダウンしてしまうことが見出された。この問題については画面輝度の調整と常時アプリケーションを表示しない設定に調整することなどで、林業作業中の継続した測定可能な状況となった。 計画していた臨床試験は、2022年12月27日に浜松医科大学臨床研究倫理委員会での承認を受け実施可能な状態となった。2月~3月に林業作業従事者への説明と同意取得を実施する調整を行っていたが森林組合等との調整が難渋し、2023年4月末で再調整を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体データを収集するウェアラブルデバイスである、Galaxy Watch 4で心拍に加えて体水分量を含む体組成データを研究目的で収集するための最適化は、当初予定では2022年Q1~Q2で実施する予定であったが、科研費採択後の共同研究契約の締結に想定よりも時間を要したうえ、Galaxy Watch 4のバッテリー消費の調整と、心拍データの抽出のエラーも重なり、調整完了が2022年Q3と、当初見込みよりも3か月遅延した。 臨床試験の実施は、Q3で計画を立案、研究計画書等の作成を完了し、2022年内に倫理審査承認を受けるに至った(林業作業員における作業前後の主観的疲労度と酸化ストレスの関連性についての研究;jRCT1040220141)。同意取得のための日程調整で若干手間取っていいたものの、4月末に9名から同意を取得した。同意が得られれば測定を開始することができる状況にあり、今後測定を進めていく予定である。 また、本研究課題採択前から実施されていた測定データを用いての解析も進んできており、作業者の作業状況・作業負荷を評価するための基盤が構築されてきている。 以上のことから、当初若干の遅れはあったものの、2022年度の進捗はおおむね順調と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、調書に記載した臨床試験を実施していく。4月に林業組合等に説明と同意取得のための訪問を行い、研究対象者9名から同意を得た。また、ほかの事業所などと現在日程調整を行っている。 臨床試験では、自覚的疲労度の評価としてVASを、他覚的疲労度の指標として作業前後の体重の変化、作業中の心拍数の変化、客観的な身体的ストレスの指標としてd-ROMs Test、BAPtestを測定する。 交付額の関係もあり、調書に記載した、「作業者は各季節で様々な林業作業に従事するため、春夏秋冬の季節ごとで延べ25人程度、合計延べ100人程度(同一対象者の複数回データ収集を含む)」での対象者100例の臨床試験の実施は困難と考えており、測定時期を林業作業に伴う身体負荷と、作業に伴う水分喪失に伴う体重変化(体組成変化)が大きいと考えられる夏季(5~10月頃)に集中して測定を行うこととした。2022年度に作成した倫理審査申請の研究計画書において。この見直しを行っており、VASで評価した自覚的疲労度と、心拍数、d-ROMs Test、BAPtestの比較検討を行うにあたって十分な評価をしうる症例数として20例の症例数へ見直しを行い研究を進めていくこととして、倫理委員会申請を行い承認を得ている。
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