研究課題/領域番号 |
22K10591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
星出 聡 自治医科大学, 医学部, 教授 (90326851)
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研究分担者 |
苅尾 七臣 自治医科大学, 医学部, 教授 (60285773)
成田 圭佑 自治医科大学, 医学部, 助教 (60912756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 震災 / 血圧 / 認知機能 / 遠隔モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
震災後に心血管イベントは増加する。その原因の一つが、震災後に血圧が上昇する災害高血圧である。申請者らが、2011年の東日本大震災直後から被災地支援として導入した血圧遠隔モニタリングシステムは、災害高血圧を極めて良好にコントロール可能にすることを証明している。本研究の目的は、震災直後から導入しているシステムから得られた10年にわたるデータを用いて、震災急性期・慢性期・復興期の時間経過に伴う心血管イベントリスクの変化を同定し、本システムを発展させ、心血管イベントを最小限に抑制する被災地復興モデルを示すことで一般診療にも展開する。
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研究実績の概要 |
本研究の主要評価項目の一つとして認知機能障害及び認知症がある。認知機能低下は、確立された自己管理タスクを完了することが困難な場合が多いとされている。今回の研究では、指示があった家庭血圧測定が十分に達成できない場合、認知機能低下と関連があるかもしれないという仮説を立てた。303名(平均年齢 77.3±8.2歳、男性66.7%)を対象に、24時間自由行動下血圧計(ABPM)と家庭血圧測定機能を合わせもつ血圧測定機器を用いて、ABPMを施行後に7日間の家庭血圧測定をお願いした。認知機能の評価として、MoCA-Jを用いた。平均MoCA-Jスコアは、18.5±6.0点であった。家庭血圧測定日数が5日未満の群(n=55)では、家庭血圧測定日数とMoCA-Jスコアに相関を認めたが(r=0.56, P<0.001)、5日以上の群(n=248)ではその関係を認めなかった(r=-0.06, P=0.312)。全体集団において、心血管リスク因子を共変量に含めた重回帰分析では、家庭血圧測定日数(β=0.62; 95%信頼区間[CI], 0.19, 1.05)及び家庭血圧測定日数5日未満(β=-1.69; 95%CI, -3.26, -0.12)は、MoCA-Jスコアと関連を認めた。MoCA-Jスコアの最下位4分位目(13点以下)を低MoCA-J群としてロジスティック回帰分析を行うと、家庭血圧測定日数が増加するほど低MoCA-J群となるリスクは約30%低下し(オッズ比, 0.72; 95%CI, 0.58-0.39)、家庭血圧測定日数5日未満は、低MoCA-J群となるリスクは約3倍となった(オッズ比, 2.92; 95%CI 1.37-6.23)。高齢者において、家庭血圧測定を一定期間行うように指示した場合、家庭血圧モニタリングの不十分な遵守は認知機能障害と関連している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、これまで得られたデータの中から家庭血圧測定と自由行動下血圧計の一体型の血圧計を用いて、認知機能との関連を横断的に検討した。血圧データは長期的にフォローしており、以前にMoCA-Jで認知機能を評価した集団があるため、認知機能と血圧の経年変化の解析をすすめる予定である。家庭血圧のモニタリングシステムについては、新規のデータサーバーが導入されており、1か月につき約2万回の血圧測定データが蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も引き続き、本研究に登録された患者について家庭血圧およびABPMの両面からの血圧管理を行い、心血管リスクの評価及びイベントのフォローを行っていく。本研究の達成には、現地の医師との綿密な連携が必要である。西澤医師とは月に1回、定期的な研究関連会議を行っており、引き続きこれらの問題を解決していく予定である。
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