研究課題/領域番号 |
22K10593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
初坂 奈津子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50505352)
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研究分担者 |
佐々木 洋 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60260840)
西野 善一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70302099)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 初期瞼裂斑 / 小児 / 紫外線 / 屋外活動 / 小児の初期瞼裂斑 / サングラス / 近視 / 眼鏡・サングラス |
研究開始時の研究の概要 |
小児期から眼部の紫外線被ばくに対する予防を行うことで、将来の紫外線関連疾患の進行予防に有効である。しかし小児期の太陽光被ばくが近視の発症および進行予防に有効であることが報告されている中で、UVカットのアイテムの使用は近視の進行につながる可能性があるが、人を対象としたエビデンスはほとんどない。 本研究では石垣島での小児を対象とした3年間の縦断的調査により、裸眼(眼鏡・サングラス未使用)群、眼鏡常用群、サングラス常用群における眼屈折および眼軸長伸延を比較することで、眼部UV対策の近視進行への影響を明らかできるはずであり、有効な近視対策の解明における大きなエビデンスとなる。
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研究実績の概要 |
申請者らは2019年に沖縄県石垣島(UV強度:208 J/m2)の小学生を対象とした調査を行い紫外線強度の強い地域では、小児から太陽光による眼部への影響が大きいことを報告してきた。また太陽光被ばくの指標となる初期瞼裂斑の経年変化および眼屈折や眼軸長の経年変化を分析し、近視との関係を検討している。令和4年度(2022年度)は石垣市立真喜良小学校および新川小学校の4、5、6年生(計302名)を対象とした調査を行った。そして今年度その継続調査として小学生5、6年生(計178名)と石垣市立石垣中学校全校生徒524名の調査を行った。今回調査した中学2、3年生は2019年の対象者であり、4年間の縦断的検討が可能となる。小中学生における初期瞼裂斑の有病率の推移や進行程度、そのリスク因子などを解析する。特に4年間の経過で1番大きな変化と考えられるのは、新型コロナウィルス感染症の蔓延による生活環境の変化である。子供達の現在の生活状況をアンケートにより聴取した結果、2019年と比較して特に大きな違いが見られたのが、スマートフォンおよびタブレット等に関連する項目であった。コロナ禍により子供たちの屋内での活動が増え、特にスマートフォンやタブレット等の使用頻度と使用時間の顕著な増加があり、大きな環境の変化が起きていることが推測される。しかし今年度の調査結果から、コロナ禍も落ち着きだんだんと以前の学校生活に戻ってきていることも明らかとなってきた。それに伴い初期瞼裂班の有病率も昨年度に比べて増加が確認されている。今後は小中学生の成長期におこる眼軸長の変化や眼屈折変化と環境因子との関連も検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年と令和5年に石垣島での調査を実施しており、眼部紫外線被ばくの指標となる初期瞼裂斑の推移を検討できている。また両年度ともアンケート調査を実施しており、児童の生活習慣や行動の調査もできている。眼鏡やサングラス使用状況も同時に調査しており、初期瞼裂班との関連や屋外活動によるリスクなども検討可能である。また令和5年度は石垣中学校の全学年524名の調査を行った。この対象者は全員小学生時(2019年)に同様の調査を行っており、今回は4年前の結果との比較を中心に縦断的な分析を進めている。小学生高学年から中学生への経年変化も検討可能であり、成長に伴う眼軸長の変化、近視化への影響も検討している。これら小児の長期での縦断的調査は報告も少なく、貴重なデータとなる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、最終年度として調査を実施する。2019年時の対象者の5年の経年変化および2022年からの3年の経年変化から、初期瞼裂斑の発症および進行とそのリスク因子(年齢、性別、UV被ばく量、戸外活動時間、近方作業時間、部活動、眼鏡・サングラスの使用頻度)を検討し、UV被ばくの指標としての瞼裂斑の変化に関与する因子を明らかにする。 本研究期間には新型コロナウィルス蔓延による大きな変化が、子供たちの屋内活動の増加を招き、初期瞼裂斑有病率の低下と近視化が確認されている。一旦発症した初期瞼裂斑が消失するのか、どのような生活習慣が眼部UV被ばくに関与しているかが明確になる。
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